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啓蟄(けいちつ) について考える

2010-03-06 11:31:16 | 

啓蟄(けいちつ)は、二十四節気1つ。または、この日から春分までの期間Photo 240001

一般的な定気法にあっては、太陽黄経が345度のときで36日ごろ。恒気法にあっては冬至から76日目38日ごろ。

大地が暖まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ。二月節。

暦便覧には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されている。

柳の若芽が芽吹き、ふきのとうの花が咲くころ。

啓蟄のことを日本以外の漢字文化圏では驚蟄※と書く。また日本でもそう書く場合がある。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

本家の中国が「驚蟄」ですから、こちらが本来の漢字のように誤解する方もいるのですが、そうではありません。日本の「啓蟄」が本来の字で、中国の「驚蟄」は、日本に暦が伝来した後で変化した言葉なのです。

中国や日本の太陰太陽暦で用いる二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、二月節である。冬ごもりをしていた虫が、気候が暖かくなって外に出てくる時期という意である。太陽の視黄経が345度に達するときで、太陽暦の36日ころにあたる。 Photo_2

このころ初雷(はつかみなり)が鳴り、これを聞いて虫が土中からはい出すと考えたので、これを「虫出しの雷」ということもある。

「余寒いまだ尽きず」といった天候の季節にあたり、年によっては南国でも一時、雪になったりする。しかし春の彼岸も近いので、日の長くなり方も急であり、すでに光の春の季節は始まっているとみることができる。

出典: [ 日本大百科全書(小学館) ]

 啓蟄は、古代中国の周王朝時代に成立した『礼記』の月令にある「蟄虫始振」 から生まれた古い言葉なのですが、この言葉が漢王朝の時代に「驚蟄」に直されました。この変更には中国の「諱(いみな)」※の慣習が関わっています。

    諱(いみな)生前の実名。生前には口にすることをはばかった。 人の死後にその人を尊んで贈る称号。諡(おくりな)1の意を誤って》実名の敬称。貴人の名から1字もらうときなどにいう。

王や皇帝と言った場合はその王朝が続く間は、この文字を使う事を避けるのが通例でした(中には、その影響を考えて避諱を免ずる詔を下す君主もいました)。

 啓蟄の「啓」は前漢王朝の六代皇帝、景帝(在位期間:前156 - 141年)の諱(いみな)でしたので、この文字が使えな くなり、これと意味の似ている「驚」という字で置き換えられるようになったのですPhoto_3 Photo_4

 漢王朝が滅んでからは、「啓」を避ける必要はなくなり、暦の上の文字も再び啓蟄に戻ります。そしてこの「啓蟄」に戻っていた時代の暦が日本に輸入され、日本では「啓蟄」の文字が使われるようになりました。

 本家中国ではどうなったかというと、一度は啓蟄に復したのですが、使い慣 れた「驚蟄」の方がよいと言う事で、再度「驚蟄」に戻されました。

 日本には、もちろんこの「驚蟄」と書かれた中国の暦も輸入されてきたので すが、日本においては中国の王朝の諱を避ける必要もありませんし、「驚蟄」を使い慣れたと言う事もありませんでしたので、変更されることなく啓蟄が使われ続けています。

 結果的には、日本の二十四節気の方が、二十四節気本来の文字を今に伝える 結果になっています。本家と元祖の争いではありませんが、元祖は中国なのですが、本来の意味を伝えている本家は日本なのです。

したっけ。

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倉内佐知子

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