透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

3つの理由

2007-04-11 | A 読書日記


● 古刹の白梅 

 しばらく前に読んだ『美の構成学 バウハウスからフラクタルまで』三井秀樹/中公新書、自室の書棚を見ていて2冊あることに気がついた。1冊は初版で96年の発行。この年に既に読んだ本だった。



 最近この本を読んだのは建築造形における「繰り返し」という秩序に関心があったから。前にこの本を読んだ動機は今となっては分からない。デザイン全般に関心があるからなんとなく手にしたのかもしれない。およそ11年ぶりに再読したことになるが、既読感は全くなかった。内容を忘れていたのだ。

 福永武彦の『愛の試み』『草の花』(新潮文庫)もそれぞれ2冊あるが、読んだことを忘れてしまったからではない。用紙が変色してしまっていたから再読する時に改めて購入したのだ。

 他にも単行本で読んで再読を文庫で、と思って2冊目を購入することもある。文庫本はポケットに入るので持ち運びに便利、隙間時間読書に適している。『日本の景観』樋口忠彦 を単行本(春秋社)で読んだのは81年。文庫本(ちくま学芸文庫)は昨年購入したものの、いまだに積読状態。



手元に同じ本が2冊あるのは、以上のいずれかの理由による。

ところで世の中には読書用と保存用、同じ本を必ず2冊購入する人がいるらしい。私の理解及ばぬマニアな世界。


「負ける」建築

2007-04-11 | A あれこれ

 松本市街地の桜が満開になった。しばらく前に目隠しフェンスの前の枝だけが咲いていた市内A校の桜もこの通り。



● 今夜は「プロフェッショナル」に建築家の隈研吾さんが登場する。隈さんと言えば先日東京ミッドタウンにオープンしたサントリー美術館やしばらく前に完成した高知県の梼原町の庁舎などの設計者。番組で隈さんが何を語るのか注目。

以下追記 

プロフェッショナルをみた。

「隈研吾 創造を生み出す現場」 制約に負けることから独創が生まれる

番組でも紹介された隈さん30代の作品「M2」、混沌とした東京を建築的に表現したのだという。自信作を酷評されて隈さんは落ち込んだらしい。確かにあの作品を評価する気にはなれない、どうしても。この人は真面目に建築しているんだろうか、そう思ったことを覚えている。

それが環境に「負ける」建築を創造する原点だという。環境に負ける、要するに環境に溶け込んだ、環境によく馴染むということだろう。梼原町の庁舎は地元産の杉をふんだんに使った木造建築。あの「M2」と同じ設計者の作品とは到底思えない。他にも最近のプロジェクトは「真面目」なものばかり。

番組では熊本で進行中のプロジェクト、竹構造のレストランが紹介された。12月にオープンする予定だという。斬新な構造だった。

いままで隈さんの作品に注目したことがなかった。サントリー美術館をじっくり観察しなくては・・・。

サントリー美術館 ↓

http://www.suntory.co.jp/sma/