■ **氷点下20度を下回る日が珍しくない旭川市では、2003年に20人を越える野宿者が確認された。その中には雪が膝上まで積る河川敷の橋の下をテント地で覆って通年を過ごす54歳の女性もいたという。**
日本の野宿者の過酷な生活のルポルタージュ。「野宿から脱出したくても脱出できない」実態が次から次へと紹介される。
多くの人は、野宿に至ったことを「社会の問題」ではなく「本人の問題」だと捉えがちである。しかし著者はそうは捉えない。椅子とりゲームに喩えて社会の構造的な問題なのだ、と指摘する。
著者は20年以上も野宿者の支援活動に携わってきたという。その活動を通じて見てきた社会の「最底辺」に生きる人たちの極貧の日常生活。
もうらしい(気の毒な、かわいそうなという意味の信州の方言)生活ぶりに思わず涙ぐんでしまった。
帯に「若者に告ぐ!」とあるのは現在400万人ともいわれるフリーターから野宿者になっていくパターンが仮に1パーセントだとしても4万人、5パーセントなら20万人!にもなるからだ。
『ルポ最底辺 ----不安定就労と野宿』生田武志/ちくま新書