■『進化の設計』では自然(時に造物主とも表現しているが)を設計者に見立てて、著者、佐貫氏の専門の航空工学的な視点でその「作品」の評価をしている。そのことを紹介するために既に数回本文から引用したが今回も1ヶ所引用する。
**プテラノドン(*1)は翼竜の最高傑作であった。すでに八〇〇〇万年前ごろ、その設計者は完全な空気力学と飛行機力学を理解していた。これにはただ恐れ入るほかはない。**
*1プテラノドンはジュラ紀の翼竜。
本書のカバー折り返しに、進化と生命がテーマの類書が8冊挙げられている。その中に今西錦司の『進化とは何か』がある。この本を読んだのは1978年、30年以上も前のことだ。「今西進化論」といわれる独自の進化論、進化をめぐる哲学的な思索といってもいいかもしれない。読みたい本が次から次へと出てくるので再読の機会があるかどうか・・・。
さて、これから読み始めるのは『昆虫―驚異の微小脳』水渡 誠・中公新書。
**昆虫の行動を実現しているのは、一立方ミリメートルにも満たない小さな脳である。(中略)驚くべき巧妙なしくみがぎっしりと詰まっていて、自然が生んだ至高の知恵というべき洗練された働きをする。**
この本も『進化の設計』の関連本と言えなくもない。造物主によるミクロな神経回路の設計にヒトによる設計は追いついているのだろうか・・・。