■ 『成熟と喪失 〝母〟の崩壊』 江藤淳/河出書房新社
善光寺詣りの際に立ち寄った長野駅前の大型書店には古書コーナーもある。別に古書を蒐集する趣味があるわけではないが、のぞいてみた。で、すぐ目に入ったのがこの本だった(左)。この評論は文庫化されていて、昔文庫(右)で読んだ(81年2月)。
迷うことなくこの本を手にしてレジに直行した。できればこの本で再読したいと思った。それに本そのものがとても魅力的に感じ、手元に置いておきたいと思ったのだ。パラフィン紙でカバーされた箱、布製の表紙。これらは時の流れに耐える、というか時を経て魅力が増す。私は中身に加え、この本が長い時を蓄えているということに惹かれたのだと思う。
自室の書棚の本がすべてこのような本だったらどんなにいいだろう・・・。