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須坂市の普願寺本堂
■ 境内の説明板によると現在の本堂は江戸中期、延亨4(1747)年の完成で、長野県内の浄土真宗寺院の中で最も大規模な本堂の一つだそうだ。山門に立つと本堂のシンメトリックな構成の力強さ、堂々とした佇まいに圧倒される。
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本堂側面の軒下の組物に伝統的な和様の技術を観る。古建築の部材に付けられた名称はなかなか覚えることができない。尾垂木(おだるき)を二段に組み、その上に斗(ます)を載せ、桁を渡す。そこへ急勾配の地垂木(じだるき)、更にその上に緩勾配の飛擔(ひえん)垂木を架ける。これらの部材は天秤のようにバランスがとれていて、軒を大きく張り出すことを可能にしている。
精緻な建築技術、高い美意識。単に繰り返しの美学などと片付けてしまうことを躊躇う。日本の伝統的な建築文化、いや建築に限らず、広範な伝統文化に触れる機会を持ちたいと思う。