透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

雑想

2012-08-14 | B 石神・石仏



 このところブログが火の見櫓一色になっているが、これは私の本意ではない。火の見櫓は趣味のひとつ、というくらいの位置付けにしておきたい。

立科町では何体もの道祖神を見かけた。火の見櫓や道祖神が多いというのは歴史ある町であることの証左、と言っていいだろう。新しい町にはどちらも無い(ここで注意したいのは古い町でもどちらも無いこともあるということ)。

立科町から旧北御牧村、旧望月町あたりは周囲をたおやかな里山に囲まれたのどかな田園地帯で、いくつもの集落が散在している。それらの集落には火の見櫓があって、路傍には道祖神が祀られている。連綿と続けられてきた素朴で堅実な暮らしをそこに感じる。人びとの地域を慈しむ優しい心も。

この道祖神は同町西塩沢で見かけた。平安貴族風のスタイルの男神と女神が並び立つ道祖神だ。十二単衣(としていいのかな)を着た女神が酒器を傾け、冠をつけた(これも違うかな)男神の盃にお酒を注ごうとしている様が彫られている。

双神の顔の向きがいい。正面でもなく対面でもなく、やや内側を向いている。上にあるのは(たぶん)神殿造の基本的なアイテムだが、さて困った、名前が分からない・・・。

今在る火の見櫓は戦後、昭和20年代後半から30年代半ばころまでのものが大半、道祖神は江戸末期から明治のものが多い。前者は鉄の造形、後者は石の造形だ。対象こそ違え、そこには職人の美意識が反映されている。それをきちんと感じ取ることができるかどうかは偏に私の感性と知性にかかっている。このことを肝に銘じておきたい。


 


328 329 上田市(旧武石村)の火の見櫓

2012-08-14 | A 火の見櫓っておもしろい

 
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危うく見落とすことろだった銘板

完成 昭和29年4月26日 第36号 と読める。

下は同じ高田鉄工所の銘板 東御市内にて


 
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 立科町の火の見櫓巡りの帰路、旧武石村(現上田市)の火の見櫓を少しだけ見て廻った。2基とも東信方面のオーソドックスなタイプで特に挙げる特徴もない。 こんなことを書いて済ませてしまうのは疲れている証拠。


 


323~327 東御市の火の見櫓

2012-08-14 | A 火の見櫓っておもしろい

東御市田楽平


 立科町虎御前の火の見櫓を見たあと、県道167号線(丸子北御牧東部線)で東御市へ。東御市に入って最初に出会った火の見櫓。消防庫と火の見櫓が別々に建っている! って別に驚くことでもないが。消防庫の屋外階段に半鐘が吊るされていた。この半鐘を叩くことがあるのかどうか、分からない。


 
323

■ 今回は写真の適当なアングルが逆光になってしまうケースが多かった。この火の見櫓の場合、東側から順光で撮ろうとすると脚元にバス停やカーブミラーが写ってしまう。電線や電柱が邪魔なのは毎度のことだ。





銘板が外れて脚元に落ちていた。建設年月が記されていないのは残念。


東御市上八重原 

 
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東御市中八重原

 
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消防庫に付けられている銘板 「鉄骨建築 警鐘ロー」 なぜ警鐘楼と表記しなかったのだろう・・・。


畔田
 
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八反田(旧北御牧村)

 
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火の見櫓の後継、消火ホース乾燥柱 なんとも味気ない立ち姿。




海の中を泳いでいたからといって魚とは限らない。海の中を泳ぐ鳥だっている。海の上を飛んでいたからといって鳥とは限らない。海の上を飛ぶ魚だっている。

半鐘が吊るしてあるからといって火の見櫓とは限らない。消火ホース乾燥柱に半鐘が吊るしてあることだってある。半鐘が無くて消火ホースが干してあるからといって乾燥塔とは限らない。火の見櫓のことの方が多い。


* 柱、梯子、櫓、塔  これらの類似語について使い分けをしなくてはならない。このことについては稿を改めて書きたい。



 


320~322 佐久市の火の見櫓

2012-08-14 | A 火の見櫓っておもしろい

 
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 鉄筋コンクリート造の消防倉庫の屋上に建てられた火の見櫓

6段のブレースは全てリング式ターンバックル付き。フラットバーの交叉ブレースより櫓は透けている印象だ。下の長和町の火の見櫓と比較すると、「スケスケ感」の違いが分かる。



 屋根と見張り台

避雷針に付けられた矢羽根と根元に付けられた飾り、それから四隅の小さな蕨手。共に細い鋼材による繊細なつくり。

見張り台の手すり子も細い鋼材でつくられている。手すりのすぐ下の曲線によるデザインは女性的。立科町と同様に見張り台に赤色灯が設置されている。

見張り台に比して屋根が小さいのもこの辺りの特徴か。



■ 水平ブレース

櫓の下部に設置された水平ブレース。このブレースの必要性、有効性は私には分からない。



■ コンクリート基礎

旧望月町(たぶん)にて 撮影 120813


  
321 旧武石村(現上田市)にて 撮影120813


 
322 後方の建物は佐久市望月支所







なかなか優れたデザインだと思う。ただ残念なことに屋根が無い。

撮影 120813