透明タペストリー

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「巴里茫々」北 杜夫 

2023-12-26 | A 読書日記

 
『巴里茫々』北 杜夫(新潮社2011年)

 同じことを何回も書くが、2020年に自室の書棚のカオスな状態を解決しようと約1,700冊の本を古書店に引き取ってもらった。文庫本が最も多く、約1,100冊だった。この時、残した文庫本は約250冊。北 杜夫、安部公房、夏目漱石は残した。この3人の作品は再読することがあるだろうと思ったので。川端康成、三島由紀夫、大江健三郎、司馬遼太郎、藤沢周平、吉村 昭、松本清張、南木佳士、ロビン・クック、マイケル・クライトン・・・。他の作家の作品を読みたくなったらまた買い求めればよい、と割り切った。絶版ならあきらめようと。過去ログ

北 杜夫の作品を高校生の頃から読み続けてきたが、『巴里茫々』は未読だった。先日図書館で偶々この本を目にしたので借りて読んだ。大好きな作家北 杜夫は2011年10月24日に逝去した。この本は同年12月20日に発行された。借りてきた本は帯が外され見返しに貼られているが、そこには大きく 追悼 北 杜夫 と記されている。

本書には2編の小説(読んでみて小説でもエッセイでもないと思ったが帯に小説とあるのでそれに依った。)が収録されている。帯に本書について簡潔に紹介されているので引用し、読書記録としたい。

**著者が謳歌した人生が、走馬灯のように現れては消える。刊行が待たれていた詩情溢れる最後の小説集。 『どくとるマンボウ航海記』時代のパリを舞台に、濃霧の中に漂う記憶の幻影を描く「巴里茫々」。山岳小説の傑作『白きたおやかな峰』で描かれた地を再訪し、当時の優しい案内人を探し当てる旅のドラマ「カラコルムふたたび」。哀感に満ちた二つの小説(単行本未収録)を収める。**

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北 杜夫の作品の多くは絶版になってしまったようだが(確か北 杜夫がこのことについてどこかに書いていた)、この本の巻末には新潮文庫に収められている7作品が載っている。これらは代表作といって良いだろう。書棚から取り出して掲載順に右から並べて写真を撮った(*1)。『楡家の人びと』は三島由紀夫に激賞された作品。『木精(こだま)』は最も好きな作品。


*1 手元にある『どくとるマンボウ昆虫記』は角川文庫、『どくとるマンボウ青春記』は中公文庫。


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