◇ベット押さえつけられ
ベットに寝かされ、両サイドから看護婦に押さえつけられ、片側の手は血圧計、片側の手は注射。お尻の穴付きの専用パンツを履かされ専門医に「もう覚悟は良いか」と身構えるまもなく、ブスット内視鏡が尻から思い切り挿入される、苦痛の儀式が始まった。
内視鏡だけなら未だしも、内部を膨らませるエアー配管もセットで滑る様に入っていく。
「大丈夫かあ~」「ん~ん大丈夫」機械が体の中に入っていくのが、体内から伝わってくる。
顔を向けた足先の方に大型のモニターがあり、体内洞窟のような得たいの知れない画像が鮮明に映し出され、嫌でも目に入ってくる。
◇苦しむが日本男児、我慢
「ちょっと苦しいけど我慢して」と思い切り内部に空気圧が送り込まれ、まるでガマガエルのようにガンガンと腹が膨らみ、思い切り激痛が腹部を走る。
「イテテテ・・・」と声を上げたいところだが、此処は日本男児、我慢のしどころと、無言の戦いに。「頑張って」の声に慰められるが、思い切り膨らまされた腹に容赦なく空気が送り込まれてくる。
次々に変化する洞窟写真が、時々止まり、ズームアップされ、専門医の動きが止まると、何かポリープなど異常部位の発見があったのだろうか、心配になってくる。
それでも、無言のまま、再び洞窟探査は果てし無く奥地に向かっていく。
測位から仰向に変えられ、もう画面とは離れた位置に。溜まった空気は抜けず、痛みの我慢との戦いに、早く終わってくれと願うばかりであった。
◇激闘ドラマは終わった
「はい終わりますよ」の掛け声にブスブスと空気が抜ける音と共に激闘ドラマは何とかおわった。その間、時計の持ち合わせがないので判らないが、10~20分の長い闘いであった。
ベットから下りるように指示されるが、カエルの腹は膨らんだまま、痛み苦しみを引きずりながら、診察室から引き上げた。
内視鏡検査および治療に伴う偶発症の発生頻度は全国集計で0.005%(2000人に1名)とされ、決して安全ではないのだが、医療機械で弄ばれた長い長い1日であった。
ん~んところでその結果は後日のお楽しみ、ポリーブが見つかれば、何らか言ってくれるはずだが・・・。
◇果たして結果は
先日の七転八倒した獄門攻めの内視鏡検査の結果をもらい受けに行った。
ガマガエルのようにこれでもか、これでもかと思い切り膨らまし、体内の洞窟探査は果てしてどうであったのだろうか?
診察室のガラス板に貼られた、数枚の大型フィルムに不気味な内臓写真がリアルに映し出される。このフィルムを前に、その部位を指しながら、医者の説明が始まる。
「けいしつが多数見受けられます」内壁の一部に赤黒くなった部位が何カ所か見られる。
突起物であると、直ぐに処置が必要であるが、何れも凹んでいるものであり、特に処置の必要はない。但し、カスが溜まりやすいので、それが発展すると処置を必要とする、悪玉の予備軍であることは間違いない。
元々の内壁はまっさらな状態であるが、歳を取ると、このような凸凹が出てくる様であるが、その出方は個人差があるようである。
「まあ、今回は悪玉もなかった様で、特に処置は必要ありません。但し定期的な精密検査はお勧めします」とのことで一先ず、「血便、スワッ大変だ~」と言うことはなくなり、一先ず安心出来た。
◇検査機会に恵まれた
それにしてもこの内視鏡の検査は限られた台数に殺到する検査者が物凄く多い。
通常であると予約を取るのに2カ月待ちの状態であったが、たまたまキャンセルがあり、人間ドックで引っ掛かり、1週間後に出来たのは全くのフロックであった。
痛み苦しみの獄門攻めではあったが、爆弾を抱えたままの悶々とした苦痛は精神衛生上良くなく、早めに診断結果を貰えたの結果オーライであった。
しかし、医師や検査設備含め、医療の弱い体制に何とも不安は付いて廻る。