千葉の佐倉からお客さんを迎え市内案内
その一つが歳三の墓のある石田寺である
山門を潜り、目の前に樹齢400年と言われる太い幹の、大きなカヤの木がある。
寺は他に大きな建築物もない住宅地の中にあるだけに、
その巨木が一際目だつ存在である。
途方もない年月の長さは江戸時代から現代までの樹下で人々の営みを
俯瞰していたのである。
そのカヤの木、近寄って見ると、珍しい葉と実が、見える。
葉の長さは2-3cm、幅は2-3mm、線形で断面は扁平で先端は鋭く尖って
おり、触れると痛い。葉の表面は濃緑色で光沢があり革質で硬く、枝に螺旋状につく。
材質はやや重硬で弾力があり、身近なところでは碁盤、将棋盤、連珠盤に
使われるようである。
種子は生のままであるとヤニ臭くアクが強い。
アク抜きしたのち煎るか、土に埋め、皮を腐らせてから蒸して
食べられようである。山梨では郷土の食品として、
実を粒のまま飴にねりこみ、板状に固めた「かやあめ」
として、縁日などで販売される。
また炒ったものを数十粒食べるとサナダムシの駆除
に有効であるといわれる。
間伐材や枝は燻して蚊を追い払うために使われた。カヤの
語源はこの「蚊遣り」に由来するという説がある。
カヤの実は相撲の土俵の鎮め物としても使われている。米、塩、スル
メ、昆布、栗とともに、土俵中央部の穴に埋められている。
強烈なアクの強さは虫をも寄りつかない存在でもあるが、
一方ではやっかいな蚊の追い出しも含め、多目的で使われた。
気づかない所にカヤの存在が自然に優しく生活の中に重宝されている。