春夏秋冬ライフ

四季の変化に向き合い、目の前に起きる様々な出来事を目の丈で追ってみた。

JR釧路駅へ

2016-10-13 17:25:00 | 北海道旅行
◇釧路空港
羽田から約2時間、あっと言う間に釧路に着いた。
日頃、都心へ通う、外環の一角として、ごちゃ、ごちゃしているが、一歩此処、釧路へ訪れると「ああ~広い大地」なんて、安易に言葉が出てしまう。
釧路は道東を代表する都市であるが、因みに人口は約184、000人であるが、現在住む日野市は約183、500人で殆ど変わっていない。
全域が過疎地域に最早人口減少に歯止めがかからないのは北海道、共通の悩みであろう。
北からかなり離れた所に住み、現地での生活実感もない人間が軽々と語れないが・・・。
我々が同地に訪れるのは、うっとうしい暑さから、抜け出し、からっとした空気のただよう夏の季節限定で、厳冬下では人も寄せつけぬ、厳しい寒さとの闘いが現実なのであろう。
近隣に住む、家の息子さん夫婦が、最近同地域に生活地を移されたと聞き、驚きとも併せ敢えてチャレンジする、その志と、勇気に心から拍手を送りたい。

◇タクシーで釧路空港から釧路駅へ

今までならばレンタカー会社に行き、道中の足になる、車と御対面。それぞれ運転操作の異なる車種を前に、運転操作を覚え、慣らし、まして未知の道をナビゲータを操り目的地に向かうのはかなりの覚悟が必要である。
しかし、今回は運転リスクを解かれ、テレサテンの「時の流れに身を任せ」で気楽な旅の、楽しさを追うことが出来る。
元より、道があれば、広大な北の大地を何処でも自由に走れるのは、ドライブの魅力であるが、今回は場所選びの制約の中で別の楽しみを甘受した。

◇釧路駅前で

駅前では機関車の大きな車輪と白いモニュメントが異彩を放ち、目につく。「5周年記念 JR釧路支社」「北・大地のうねり」とあり、それぞれ四つのうねる形の全体は、北の大地「北海道」を表している。
う~ん、此処が函館、今居る道東はこの当たりであろうか、荒々しいうねりに囲まれ、力強い姿を模して居るのであろうか・・・。

釧路駅の建物に向かって左に白地の建物に緑の帽子を被り、頂部に十字架を飾る、キリスト協会風の建物が大変目立ち、目を引く。デズニーランド思わすような異風な構造物は丸でおとぎ話に出てくるような建物で「釧路グレース協会」と言われる結婚式場であった。
パイプオルガンの音色が響く中、厳粛な教会の中で夢を膨らませる二人の挙式がここで執り行われる。

◇無情な運転情報

早速改札口に、駅員も乗客の姿が全く見えない中で、大きな液晶パネルが運転情報を流している。
摩周、知床斜里、網走、根室方面ではNorokko Train 11:06 CANCEL-TRIANは 無情な宣告を告げていた。
今年は北の大地に、過去に例のない、3つの台風が次々と襲来し、自然の災禍に見舞われた。
道東の広い広域を走り、網走と釧路を結ぶ釧網本線が橋梁の破損、線路の冠水などの被害で、不通になってしまう、爪痕が、未だ癒えていなかった。
屈斜路湖に源を発し、弟子屈町や標茶町の市街地を南へ流れ、日本最大の湿原である釧路湿原の中に入る。高低差が少ないため一級河川には珍しく釧路川本流にはダムが設置されていない。
未曾有の水量が緩やかに流れ込み、水位が中々沈下せず、釧路湿原の中を通る釧網本線も、復旧に時間がかかるのであろう。


◇根室から内陸部は台風の影響で不通

地図上にある、根室から内陸を弟子屈、屈斜路方面は『釧網本線』で台風の影響で冠水し、不通である。
釧路から太平洋岸沿いを走る『根室本線』で根室まで行くルートは台風から僅か外れ、何とか動いていた。
鉄路は根室までで、納沙布岬まで行くと、歯舞群島は目と鼻の先である。

最東端に当たる根室までは道東の太平洋側の沿岸部を走る鉄道幹線であり、釧路、根室間は快速で僅か2時間10~20分程で結ばれる距離にある。

◇釧路、根室間は一日、たったの6本

しかし、釧路、根室間は一日、たったの6本で、列車間の間隔時間は約3時間であり、乗り遅れたら、1日のタイムスケジュールも完全に狂ってしまう、時間以上に遠く離れた釧路、根室間なのである。
数分置き、遅くても10数分まてば次の電車がやってくる都会とは、全く違う生活リズムにある。それもこれも、走らす為には唯一の料金収入であり、過疎化のあまり利用客の少なさが、厳しい運行を物語っている。

全国を上回る人口の減少と札幌の一極集中化が進み、乗客が1987年国鉄の民営化以降、3割近く以下に減った路線もあり、最早この傾向は止まらない。
除雪など膨大な維持費もかさみ、安全対策を怠れば、脱線、車両事故など着いて廻る。
おまけに今年は台風の度重なる上陸に、秋の行楽時期に重なりドル箱路線の釧路湿原周辺では運休による減収ともあわせ、復旧に関わる費用も赤字路線にたたみかけるように重荷になっている。
JR北海道が見直しを検討する路線にこの近くでは『釧網本線』や『根室本線』もエントリーされている代表路線で、JR北海道の社長様も、このまま先送りすれば資金繰り破綻が避けられず、不退転の決意で臨むと、言われている。
そんな背景から、今回の『根室本線』が後になって、路線の惜別の旅にならないよう祈るばかりである。

◇快速ノサップ11:13根室行き

広い釧路の駅構内は、殆ど人影の無い、2番線に目指す。
厚岸、根室方面は2~3時間置きに走り、是れを乗り過ごすと次は2時間後の13:25となる。普段乗り付ける都会の電車では、数分~10分位で、来るので、余り時刻表を見る感覚はない。しかし、此処では時計が止まってしまったような世界である。せわしなく追われている都会生活では長時間待つと言う慣習がないため、運行時間に改めてギャップを感じる。
ガーガとエンジンをふかしながら、たったの1両の快速ノサップが発車前のスタンバイに客待ちしていた。

◇人影の無い中淋しく発車
乗ってみて、驚いた。目に鮮やかなブルーカラーのボックスシートはご覧の通り、完全に空気搬送車で、一緒に同行した7人が、最大の群れで、他のお客は10人に満たない、専用お抱え列車であった。
ワンマンカーで運転操作、ドアーの開閉、乗降客の乗降手続きなどこなし、ああ~これがローカル列車と確認する。、ある種贅沢な気分で異郷の世界とボックスに身を沈めた。
始発駅の釧路で、シルバーの地色に赤い帯のジーゼルがたった1両で根室へ目指し、殆ど人影の無い中で時間待ちし、アクセルの踏み込みで、エンジン音も高らかに、定刻時にゆっくり発車する。


◇運転席に張り付く
ボックス席はガラガラであったが、初めて乗る『釧網本線』のローカル線の風情を確かめたく、わくわくしながら乗鉄モードで運転席に張り付く。

緩やかなカーブに疾走し、エンジン音とリズミカルなレール繋ぎ目音が、耳に入り、何処となく風が、体一杯、吹き抜ける、ダイナミックなローカル線旅を運転席で堪能する。
窓越しに映る風情は殆ど自然の樹林帯の中、切り開かれた専用軌道を走り抜ける。
小さな橋梁を渡り、踏み切りに近づくと、殆ど車両の姿が伺えないが、思い切り断続的に警笛を鳴らす、原野に響き渡る、ローカル路線の姿があった。

◇厚岸

やがて『厚岸』に近づく
路線の直ぐ右手が穏やかな厚岸湾を通じて太平洋に繋がる。海岸線とは土盛りされた僅かな高台の専用軌道は波を被れば一溜まりもないが、内海に位置するのか、なぎのように静かな海であった。
海岸線に沿って、先方には建物が見えるが、路線の中でも一際、賑わいを見せる、厚岸の街がもう、手の届く所に来ている。


道の駅のターミナルのコンキリエからの景色は広い厚岸湾を一望し、晴れた日には、厚岸湾口の尻羽岬や大黒島、愛冠岬を望み、厚岸大橋や厚岸市街の全景を眺望する。


前回は車でターミナルのコンキリエで目の前が拡がる眺望を楽しみ、味のしみ込んだ牡蛎飯を堪能した。
その味を忘れられず、厚岸駅の僅かな停車時間に、予め予約した牡蛎弁当を持参頂き、ホーム
で購入、無事に受け取る。再び根室方面へ向かう車窓から風情を確かめながら、しっかり牡蛎弁当を腹に収める。
インターネットの世界。いや~世の中、便利に廻り、こんなローカル列車にも最高のご馳走をありつける贅沢することが出来たことに、ただただ感謝する。
列車は厚岸駅から更に東下する

ようこそ松崎家の世界へ

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