岸本尚毅氏の「名句十二ヶ月」を読んでいて「蚊相撲」なる一節が目に止った。 「蚊相撲」は狂言の演目名である。
都で相撲が流行るので我もと貧乏大名が太郎冠者に力士のスカウトを命じる。一方近江の蚊の精が力士になれば人間の血が存分に吸えると考えてスカウトに応じる。早く相撲の取りたい大名は自ら相手になるが血を吸われて負けてしまう。そこで二回目の勝負で太郎冠者に団扇を持たせて扇がせる。「アオゲヤ、アオゲ・・・・」 風の苦手な蚊の精はよろめきながら退場する。
昔の日本人のユーモアのセンスに驚くと共に、蚊に悩まされたつづけた祖先に愛着を感じたのである。そして俳人もまたこよなく蚊を愛したようである。
白桃に奈良の闇より薮蚊来る 沢木欣一
蚊柱を吹いて曲げたり木曽の風 宇佐美魚目
蚊の声のひそやかなるとき悔いにけり 中村草田男
※写真は投稿者の貧しい連想でした。
都で相撲が流行るので我もと貧乏大名が太郎冠者に力士のスカウトを命じる。一方近江の蚊の精が力士になれば人間の血が存分に吸えると考えてスカウトに応じる。早く相撲の取りたい大名は自ら相手になるが血を吸われて負けてしまう。そこで二回目の勝負で太郎冠者に団扇を持たせて扇がせる。「アオゲヤ、アオゲ・・・・」 風の苦手な蚊の精はよろめきながら退場する。
昔の日本人のユーモアのセンスに驚くと共に、蚊に悩まされたつづけた祖先に愛着を感じたのである。そして俳人もまたこよなく蚊を愛したようである。
白桃に奈良の闇より薮蚊来る 沢木欣一
蚊柱を吹いて曲げたり木曽の風 宇佐美魚目
蚊の声のひそやかなるとき悔いにけり 中村草田男
※写真は投稿者の貧しい連想でした。