575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

早春の富士山   遅足

2009年02月11日 | Weblog
二月の句会が近づいてきました。
今回の題詠は「早春」。
先日、東名高速の富士パーキングで見た富士。
雲一片もない早春の空に。

でも、帰りには全く顔を見せてくれませんでした。

ところで、先日のNHK俳句大会を観ました。
5万もの句が寄せられたそうです。
良い句ばかりでした。
そのなかでも気に入った句をいくつか。


 ふるさとは異国にもにて遠花火  ブラジル移民の方

やはり投句は、年輩の方が圧倒的に多い。
自分の青春や若い頃の思い出が詠まれている。
そんな中で、この句は秀逸でした。
ブラジルに移住した方でなくとも、
この50年、日本は大きく姿を変えました。
帰ってみた故郷に自分の居場所はない、と
感ずる人も多いのでは。


 東京を東京湾の月照らす 東京の方

むつかしいコトバはないのに、難解な句です。
素直に、文字通り読めば、東京では空には月はなく、
東京湾に映った月の光によって照らされている。
あまりに自然から遠ざかった大都会・東京。
自然の光ではなく、水に映った光、幻によって、
その姿を浮かび上がらせている。
どこか非人間的で、しかし美しい東京のイメージが
浮かんできました。


 豪雪や声を出さねば消ゆる村 新潟 矢澤彦太郎さん

今の日本で起きている派遣切りを連想させました。
声をあがなければ、ないものとなってしまう。
消えてしまう恐怖。
自然の豪雪も恐ろしい。しかし大都会には、また違った豪雪が。
人間を消してしまうものが降っている。
「声」が、痛切な響きを持って迫ってきました。





コメント
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