575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

二月句会の句が集まりました。 

2009年02月16日 | Weblog
2月句会の題詠は「早春・・・」

①父祖の地の住処追われて春遠し
②早春や広重と立つ潮見坂
③しゃがみ込む妻早春の庭の端
④春立ちて托鉢の足袋穴だらけ
⑤春浅し合否を告げる薄き紙
⑥早春や光と風のせめぎあい
⑦病癒え早春の鉢買い求め
⑧早春の昔に妻を抱き寄せる
⑨春寒や塔婆の文字のささくれて
⑩廬山寺の春まだ浅き縁にかけ
⑪噛み合はぬ夫婦の会話春浅し
⑫春浅し厠に英文法の本
⑬春めきて猫の後追う痴呆犬


自由題

①子らの声春めく朝の通学路
②立春や豆大福を一口に
③未来見る瞳のぞきて春隣
④はだれ野やこの地守りし人のあり
⑤日脚伸びベートーベンの悲愴弾く
⑥初蝶は手のなか蝶の面構え
⑦三月も若者たちは立ち尽くす
⑧車椅子寄せて桜の古木なで
⑨豆まきの鬼役今日は早退す
⑩ぞくぞくと道路工事の二月来る
⑪ゴビはるか地蔵眉閉ず黄砂かな
⑫菜の花や褒めて一把をもらいける
⑬寒雷や最終号手に老歌人

番外
掃除機をかけつただよう春の空(郁子)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホームレス短歌       愚足

2009年02月16日 | Weblog
★最近友達からこんなニュースの紹介があった。

毎週月曜日の朝日新聞に掲載される読者投稿の短歌欄「朝日歌壇」で、最近、1人の投稿者の存在感が高まっている。その名は公田耕一。本名かペンネームかはわからない。住所欄に地名ではなく、「ホームレス」と記されているのが印象的だ。

 初登場は昨年12月8日だった。

 ・(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ

 これを永田和宏、佐佐木幸綱の2人の撰者が採った。「柔らかい時計」というのは、画家サルバドール・ダリの作品として有名だが、住むところのある人間とホームレスの時間の流れ方の違いを表現したものだろう。

 以降、毎週のようにホームレス生活を詠った作品が載るようになっていく。いくつか紹介しよう。

 ・鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか(12月22日)
 ・水葬に物語などあるならばわれの最期は水葬で良し(1月5日)
 ・パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる(1月5日)
 ・日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る(1月19日)
 1月5日詠の「水葬」は、戦後を代表する歌人、塚本邦雄の第1歌集『水葬物語』を意識したもので、公田氏の短歌の素養がうかがわれる。1月26日に載った

 ・親不孝通りと言へど親もなく親にもなれずただ立ち尽くす

 は、佐佐木幸綱、高野公彦、永田和宏の3人の撰者が同時に採る秀作で、これを永田氏は「親が生きていてこその親不孝だが、『親にもなれず』なる四句に万感の思いがある」と評した。

 短歌欄など興味のない多くの人が読み飛ばしてしまうだろうが、短歌もまたはっきりと時代を映しているのだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする