575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

膨れ上がるビールの泡に足るを知る   郁子

2016年06月24日 | Weblog
それ以上になってはいけないし、
それ以下では、やや足りない感が、と智恵さん。

夕食の一齣と読みました。子供たちは巣立ったり、外食。夫婦二人。
コップにビールを注いでいきます。
「おっとっと」溢れそうです。満ち足りた気持ち。ささやかな幸せ。
それを、足るを知る、という格言で言いとめました。

『老子』に「足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り」とあります。
(満足を知っている者は富んだ者であり、努力している者は志ある者である)
子供の頃に、父から聞いたことがあります。
普通は、欲望にはきりがないが、欲深くならずに分相応のところで、
という人生訓として使われています。

その後、消費は美徳、と言われ、欲望を満たすことは不徳ではなくなりました。
しかしこのままでは、地球の資源が枯渇してしまうことが明白に。
再び「もったいない」「足るを知る」精神が復活しました。
ビ-ルの泡にも人間の歴史が潜んでいました。

この句、上五が字余りの文字。
これが溢れている泡の表記上の表現にもなっていませんか?

  膨れ上がるビールの泡に足るを知る

と、一句のなかに切れがありません。一物仕立ての句です。

  膨れ上がるビールの泡や足るを知る

と、切れを入れると、どうでしょうか?意味はかわりませんが。 遅足




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする