普通、何かを話したり手紙などを書く時は、大切なことから始めた方が良いようです。でも俳句の場合は文字数の関係から、字余りの時は上五に置き、下五はキッチリ五文字で締めるとか、ドンデン返しを狙って、下五に大切なことを持って来るとか、文章上の効果の点で、一概に言うことは出来ません。とも角句が出来上がったら必ず語順を変えてみると、新しい何かを発見することもあるものです。
では”語順の入れ替え”先ずは「季語」からです。俳句の一番基本的な形は、季語+切れ字+中七+下五で、季語が上五に座ることです。この場合、読者に先ず季語が示された訳ですから、以下の中七、下五でしっかり説明しなければなりません。
反対に季語を下五に置く場合は、最後で句の結末をつけることになり、安定感が増すとともに、意外性をもたらすことも出来ます。
「低く垂れその上に垂れ萩の花」(高野素十)
「白萩のつめたく夕日こぼしけり」(上村占魚)
次は季語以外の語順で、これは表現上の効果や問題ですが、よく言われるのは「字余り」になったものは上に置き、中七、下五で句の形をキッチリ整えるというものです。
また、俳句は”小さな景から大きな景へ(反対に大から小へ)で詠むと良い”と言われます。
「夏あざみ火の山へ径つづきをり」(藤田湘子)
「みちのくの伊達の郡の春田かな」(富安風声)
この句の作り方について湘子さんは、”最初に手元に小(夏あざみ)を置き、次に視線を遠くに移して火山を捉え、最後にその間にあるもの(径)を探すというのがコツ”と仰っています。
という訳で、先月の句会の兼題は「酉」で、私は初め「雪ととも鱒寿し来る富山より」という句を出そうかと思いましたが、ポイントが甘く不満だったので止めました。その後ふと上下を変えてはと思い、
「富山より鱒の寿し来ぬ雪連れて」
としてNHKの句会に出しました。つまり「富山から鱒寿しが来た」と「雪連れて」と景を二つに分け、季語を後ろにして強調したものですが、清水先生は”一呼吸置いて「雪連れて」としたところが上手い”と、採って下さいました。
上級者の方も、意外に「語順を変える」ことには気が付かないもので、是非皆さんも一度チャレンジしてみて下さい。
(等)
では”語順の入れ替え”先ずは「季語」からです。俳句の一番基本的な形は、季語+切れ字+中七+下五で、季語が上五に座ることです。この場合、読者に先ず季語が示された訳ですから、以下の中七、下五でしっかり説明しなければなりません。
反対に季語を下五に置く場合は、最後で句の結末をつけることになり、安定感が増すとともに、意外性をもたらすことも出来ます。
「低く垂れその上に垂れ萩の花」(高野素十)
「白萩のつめたく夕日こぼしけり」(上村占魚)
次は季語以外の語順で、これは表現上の効果や問題ですが、よく言われるのは「字余り」になったものは上に置き、中七、下五で句の形をキッチリ整えるというものです。
また、俳句は”小さな景から大きな景へ(反対に大から小へ)で詠むと良い”と言われます。
「夏あざみ火の山へ径つづきをり」(藤田湘子)
「みちのくの伊達の郡の春田かな」(富安風声)
この句の作り方について湘子さんは、”最初に手元に小(夏あざみ)を置き、次に視線を遠くに移して火山を捉え、最後にその間にあるもの(径)を探すというのがコツ”と仰っています。
という訳で、先月の句会の兼題は「酉」で、私は初め「雪ととも鱒寿し来る富山より」という句を出そうかと思いましたが、ポイントが甘く不満だったので止めました。その後ふと上下を変えてはと思い、
「富山より鱒の寿し来ぬ雪連れて」
としてNHKの句会に出しました。つまり「富山から鱒寿しが来た」と「雪連れて」と景を二つに分け、季語を後ろにして強調したものですが、清水先生は”一呼吸置いて「雪連れて」としたところが上手い”と、採って下さいました。
上級者の方も、意外に「語順を変える」ことには気が付かないもので、是非皆さんも一度チャレンジしてみて下さい。
(等)