575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

青い詩集   麗

2017年02月09日 | Weblog
誕生日に友人が谷川俊太郎の素敵な詩集を贈ってくれました。

「あたしとあなた」。

この詩集のブックデザインを担当した方は、「最初に原稿を読んだ時、この言葉たちの動きや遠さや近さをどうやって本という物質にしたらいいか?」と悩んだそうです。

その結果、一番大切なのは目の前の言葉たちを載せる「紙」だと考えました。そこで、この詩集のためだけの特別な紙を作ることから始めたそうです。

越前の製紙会社で特別に作られた優しい指触りの全て水色の紙。和紙をより繊細にした感じの
この詩集のためだけの紙です。

そして、表紙には布に箔が押されたような微妙な凹凸感。
手にとるだけで、私の元に届いくまでの詩集の時間というものに、心が温かくなります。

そして、詩集の中身は37の書き下ろしの詩たち。

最初の「カフェ」という作品から。

あなたとわたし
そこいら中にいるわ
あたしたち あなたたち 
鬱陶しい人間という生き物
あなたが好きなアールグレイ
あたしの好きなモカジャバ
いま眼で見ているものは同じだとしても
心で聞いているものが違う
あなたの記憶にひそんでいる人声とそよ風の肌触り


37の詩の中には、いろんな「あたし」と「あなた」が出てきますが、性別も年齢も情景も、読者が自由にその時の気分で想像して楽しんで欲しいと谷川さんは言っています。
あらゆる人間関係の基本は「I」と「YOU」ですもんね。

一人で過ごす「時間」というプレゼントをいただいた気分。折りに触れ読み返しています。

        冴え返る青い時間のプレゼント  麗

コメント
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