出羽三山の一つ羽黒山。山形県鶴岡市にある標高400m余りの山。
芭蕉は奥の細道のなかで次のように紹介しています。
六月三日、羽黒山(はぐろさん)に登る。・・・
当山開闢(かいびゃく)能除大師(のうじょだいし)は
いづれの代の人といふことをしらず。
延喜式「羽州(うしゅう)里山(さとやま)の神社」とあり。
書写(しょしゃ)、「黒」の字を「里山」となせるにや。
「羽州(うしゅう)黒山(くろやま)」を中略して
「羽黒山(はぐろさん)」といふにや。・・・
月山(がっさん)・湯殿(ゆどの)を合わせて三山とす。
出羽三山は芭蕉の時代には修験道の道場として栄えました。
羽黒山の麓には360軒もの宿坊が軒を連ねていたそうです。
いまでも30軒ほどのが営業を続けており、
その一軒、奥井坊で精進料理の昼食をいただきました。
元気な人は山門から2446段の石段を登って山頂へ。
三河の鳳来寺山は1425段ですから、倍近い長さです。
山頂の三神合祭殿には、羽黒山、月山、湯殿山の祭神も祀られ、
雪深い冬には、三山の神様が一度に参拝できるそうです。
私は車で頂上へ。
羽黒山は明治の廃仏毀釈にもかかわらずお寺の面影を残しており、
鐘楼や五重塔が健在でした。
なかでも最も古い国宝の羽黒山五重塔は特別に公開され、
心柱などを見ることが出来ました。
羽黒山では、今も生きた修験道のお山で、8月26日から一週間、
秋の峰入りという厳しい修業が今日まで行われることに。
雨の中、大変なことだと思います。
涼しさやほの三か月の羽黒山 芭蕉
写真は国宝の五重塔です。