郁子さんの本領発揮の一句。「もしやのあの子」なんて俳句の中でなかなか言えるものではありません。特に「もしやの」の「の」がいいですね。
実は運転中に花の横をとおり過ぎ「もしや今のが帰り花?」と思って作られたそうです。私は最初この句を見て、スピリチュアルな郁子さんだから、きっと通り過ぎたあの子は亡くなった子だと勝手に思ってしまいました。幻のようにあの世からふと帰り花になって戻って来たのかと。
そんな少々不思議な魅力に富んだ一句です。
皆様からのコメントです。
亜子さん:ドラマのワンシーンのよう。「もしやのあの子」の意味ははっきりとわからないが、心の動きと帰り花がよくあっている。
殿様:下五を「戻り花」としなかった作者。江戸の粋を感じます。
結宇さん:ふとあとになって気づくことがありますよね。 昔の交流とかを思い出してるのでしょうか。
すみさん:もしやのあの子が好き
佐保子さんも採られています。
★★★
ふっと通り過ぎた花にも何かを感じ取る。それが季節はずれの小さくはかない帰り花ならなおさらのこと。
心揺さぶられる秀句だと思いました。麗子