575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

江戸の「愛国俳諧師」           愚足

2006年10月02日 | Weblog
  君が世や風おさまりて山ねむる
  これからは大日本と柳かな
  君が代は乞食の家ものぼりかな
  花おのおの日本だましい勇ましや
  桜さく大日本ぞ大日本
  日の本や天長地久虎が雨
  日本の外が浜まで落穂かな

 この神国日本を讃える江戸の俳諧師は誰だと思いますか。
 彼はまた、次の様な句も作っています。

  春風の国にあやかれおろしや舟
  日本の年がおしいかおろしや人
  梅が香やおろしやを這わす御代にあふ

 彼は、文化元年1804年(42才の時)にロシア使節レザノフが長崎に来航したニュースを江戸で聞き上記のような俳句を作ったのです。
 「愛国心」溢れる俳句ではありませんか!!

 この「愛国」の句を記した俳人は「やれ打つな蝿が手をすり足をする」「我と来て遊べや親のない雀」等、子供や小動物に優しい眼差しをおくる句の作者「小林一茶」です。
 最近、岡松正剛氏の「小林一茶句集」の書評でこの事を知って大変に驚いた次第です。
 前回、落石さんの「悪党芭蕉」の紹介でも「目の鱗落ち」でしたが、小林一茶の「愛国句」にも「目が覚め」ました。

                    
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4 コメント

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尊王攘夷の想い? ()
2006-10-02 16:13:45
 君が世や茂りの下の耶蘇仏 1793年31歳の句



これも色々考えられる句ですよね。
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日本地図の流行 (落石)
2006-10-02 15:06:25
この頃になると、日本地図を絵柄にした

お皿などが制作されています。

日本国が意識されて、一種のブームになったのでは?

その辺りをちゃんと捉えて、句にするのも

俳諧師としての腕だったのかも。

目新しさはあったと思います。



返信する
句としては? ()
2006-10-02 09:42:54
 相変わらす゛の「落石さん」の冷静・的確なコメント参考になります。

 ところで、このレベルの俳句が残されているというのが不思議ですね。本人は捨てなかったのでしょうか?

 テーマの面白味で残したのでしょうかね。

      
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日本国 (遅足)
2006-10-02 08:56:22
江戸時代の後半に入ると、西洋列強の姿が

ちらほらと見えるようになります。

泰平の世に小さな罅が入ってきます。

一茶のような俳人も、敏感に反応しています。

ただ、これを愛国俳句と名づけると、ちょっと

誤解を招く可能性があります。



日本人としての自覚と、その生きている空間としての

日本を意識しはじめる。

そういう意味の愛国ですから。

ふるさと意識の延長にあると思います。

もっとも、これが尊皇攘夷に繋がっていくわけですが。

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