この夏は父の初盆でした。生前、父はお盆の準備として茄子や瓜に足をつけて精霊迎えをしていました。初盆の句を作りたいと思った時、歳時記に「茄子の馬」という季語を見つけました。傍題に「茄子の牛」「瓜の馬」「瓜の牛」という季語もありました。一説にはあの世から来る時は、馬に乗って少しでも早く、帰る時はゆっくりと牛でという思いがあるそうです。子供の頃からお盆には必ずこの精霊馬が仏壇の前にあったので、ご先祖様が帰って来ると言われ、玄関先で迎え火も炊いていました。
かたくなにそういう風習を大切にする父だったので、茄子の馬に乗って一目散に家に帰って来そうな気がしました。そういう思いで作りました。
晴代さん:颯爽と騎乗よりの笑顔が想像できます。
郁子さん:亡くなった方があの世とこの世を行き来するお盆の茄子ときゅうりの馬。お父さまの紳士ぶりとそのキャラを愛す作者の気持ちが「颯爽と帰り来ん」にこめられている。
亜子さん:お盆に亡きお父さんが茄子の馬に乗って帰って来る。こういう心境で父をしのぶ気持ちがうらやましい。
もう一句お盆の句です。
鬼灯の燃える朱色や君を呼ぶ 竹葉
二年前にお連れ合いを亡くされた竹葉さんのコメントです。
「1年に1度だけ、立派な実をいっぱい付けた鬼灯がお店で見るととてもほしくてたまらなくなるのですが、今年はもうすぐ3回忌なのでやっと大きくて25個も実を付けた木を買ってお供え出来ました。高い果物よりも存在感があるのはその朱色ですね。」
容子さん:どなたの句か分かる気がしますが、よくはずれます。若々しい思いが伝わります。
須美さん:亡くなってしまった君にお盆に帰ってきて欲しい強い気持ちが伝わる。燃える朱色が好き。
泉さん:なんだかぞくぞくする。
★★★
お盆には朱色の鬼灯を灯りと思って、その灯りを目指して亡き人が帰って来ると聞いたことがあります。
いずれにしても亡き人がお盆に帰って来ると思うだけでなぜか心が救われます。麗子
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