計測史上に残るこの暑さ、生きものすべて必死で命をつないでいることでしょう。
生きもの二題の紹介です。コメントも読みごたえがあります。
竹葉さん: 「今生の」から今迄の長い地下の数年間からやっと開放されて、現世の本物の生の始まり感がよく出ていると思いました。
須美さん: 蝉の今生の日々始まると言うのが面白い。蝉の地上での短く貴重な日々が伝わる。
晴代さん: 蝉の大切な一日の始まり。今日を大切に(人間も)。
能登さん: うまい!! 私、羽化後の蝉の短い生を詠みたいと、何度も試みましたがうまくいきませんでした。 「今生の日々始まりぬ」がうまい。
泉さん: 蝉は土の中に長いこといて、やっと地上に出ても短い、その短い命を大切に一生懸命生きている。
亜子さん: ◎の句。蝉が土の中で長い年月を過ごしサナギとなって木に登り、脱皮して蝉になる。皮を脱いだばかりの初蝉の数日の日々が始まった。精一杯鳴いて「生を全うする」という祈りのようなものを感じる。
「今生」というのは「この世に生きている間」という意味。重みのある表現で、小さな命にむける作者の温かいまなざしを上手く表しています。
はかない命でも、やはり空を飛びまわってこその「生」ということなのでしょうか
ででむしやだんだん手間の身ごしらえ 晴代
麗子さん:「ででむし」のゆっくりした動きとだんだん手間取る身支度の様子。「でんでん」と「だんだん」の音の組み合わせもうまいと思いました。
郁子: でんでんむしむし♪ と歌っていた頃が懐かしい。無警戒でゆっくりのんびりの動きが、思うようない動けない自分に重なります。
千香子さん: 確かに何事につけ手間取るようになりました。
新見南吉のでんでんむしの悲しみを思い出しました。
生きている限り、悲しみはつきものです。その悲しみを分け合いながら少し笑って受け入れる日々。
一生懸命生きているひとに、たまにはご褒美をあげたいです。
ででむしや今生の悲しみ背負いたり 郁子