家族のあしあと | |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
◆内容紹介◆
父がいた、母がいた、きょうだいがいた――。
シーナ少年が海辺の町で過ごした黄金の日々。
『岳物語』前史、謎多き大家族の物語。
累計470万部突破の私小説シリーズ、感動の最新作!
家族ほどはかなく脆く変動する「あつまり」はない――。
海辺の町へと移り住み、大家族とともに過ごした幸福な日々は、「家のヒミツ」と背中合わせなのだった。
若々しい母の面影、叔父との愉快な出来事、兄・姉・弟に対する複雑な思い、そして父との永遠の別れ…。
戦後日本の風景を、感受性豊かな少年の成長を通して描く、豊饒な私小説世界。
【読んだ理由】
新聞の書評を読んで。
【印象に残った一行】
いまはもうその楽しい会話の断片さえ記憶にないのだが、こんなふうにして家族が全員そろって、あれやこれや言いながら、そして絶えず笑いながら一緒にご飯を食べる、という情景は人生のなかでもかなり上等な至福のの時間であったのだろう、と思う。
一度につきわずか二時間程度とはいえ、そういう時間は一生のうちにあまりないのだ、ということを後年、ぼく考えるようになった。
家族は年とともにどんどん減っていく。今生きているのはそのとき高校生だった姉と小学校入学前のぼくと、母の胸でむずがっていた弟しかいない。叔父も叔母も含めて、ぼくの家族の黄金時代を築いていた人たちは思いがけない速さでみんな別の世界に行ってしまったのだ。
【コメント】
多分椎名さんの本は今回初めてだと思うが、その魅力にはまりそう。
そこで他の本も読んでみたいと思い図書館で検索してみたら435件がヒット。私が思っていた以上に大作家さんなのだ。