日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第十一段

2019年09月10日 | 徒然草を読む


【原文】
神無月かみなづきの比ころ、栗栖野くるすのといふ所を過ぎて、ある山里に尋ね入いる事侍はべりしに、遥はるかなる苔こけの細道を踏み分けて、心ぼそく住みなしたる庵いほりあり。木の葉に埋もるゝ懸樋かけひのじづくならでは、つゆおとなふものなし。閼伽棚あかだなに菊・紅葉など折り散らしたる、さすがに、住む人のあればなるべし。

 かくてもあられけるよとあはれに見るほどに、かなたの庭に、大きなる柑子かうじの木の、枝もたわゝになりたるが、まはりをきびしく囲かこひたりしこそ、少すこしことさめて、この木なからましかばと覚おぼえしか。

 【現代語訳】
  神様たちが出雲へ会議に出かける頃、栗栖野というところを越えて、とある山奥を徘徊し、果てしない苔の小径を歩いて奥へと進み、落ち葉を踏みつぶして歩くと、一軒の火をつけたらすぐに全焼しそうなボロ屋があった。木の葉で隠れた、飲料水採取用の雨どいを流れる雫の音以外は、全く音が聞こえてこない。お供え物用の棚に、菊とか紅葉が飾ってあるから、信じられないけれど誰かが住んでいるのに違いない。

 「まったく凄い奴がいるものだ、よくこんな生活水準で生きて行けるなあ」と心ひかれて覗き見をしたら、向こうの方の庭にばかでかいミカンの木がはえていて、枝が折れそうなぐらいミカンがたわわに実っているのを発見した。そのまわりは厳重にバリケードで警戒されていた。それを見たら、今まで感動していたことも馬鹿馬鹿しくなってしまい「こんな木はなくなってしまえ」とも思った。 

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2019/09/10)

2019年09月10日 | Daily Vocabulary
24016.drunk driving(飲酒運転 )driving a car after having drunk too much alcohol 類義語 drink-driving British English 
The driver got arrested for drunk driving
24017.fill in (空欄や空所を記入する、書き込む )in to write all the necessary information on an official document, form etc 
Please fill in the blank. 
24018.fill out (必要事項の全て(全項目)を記入する場合  )out to write all the necessary information on an official document, form etc 
Please fill out this application.
24019.bigwig (お偉いさん / 大物 / 重要人物 ) informal an important person 
The bigwig of my company is in town. I have to show him around LA.
24020.big name (お偉いさん / 大物 / 重要人物)a famous person or group, especially a musician, actor etc 
There are going to be a lot of big names at the event tomorrow.

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