日本男道記

ある日本男子の生き様

山の上の家―庄野潤三の本

2021年04月10日 | 読書日記
 
【内容紹介】
7月31日取次搬入で、『山の上の家』
という本を刊行いたします。
庄野潤三(1921〜2009)のはじめての「作家案内」というべき1冊です。
庄野潤三は、戦後「第三の新人」の一人として登場しますが、自分のまわりにある身近なテーマに焦点を絞って、早くから自身の文学を確立しました。
初期の「プールサイド小景」、「静物」などの味わいは格別ですが、傑作「夕べの雲」以降の、長い創作活動を最後まで見ることで、はじめて、庄野潤三という作家の大きさがわかります。
本書は、作家が長く暮らした家をカラーで32ページにわたって紹介しています。
その他、
・巻頭文/佐伯一麦
・私のお父さん/今村夏子(庄野潤三 長女)
・父の思い出/庄野龍也(庄野潤三 長男)
・庄野潤三が家族を描いたスケッチ
・単行本未収録随筆(「わが文学の課題」)
・単行本未収録中編小説(「青葉の笛」)
・庄野潤三とその周辺 /岡崎武志
・「山の上」という理想郷/上坪裕介
・全著作案内/宇田智子・北條一浩・上坪裕介・島田潤一郎
・短編・随筆リスト
・山の上の親分さんとお上さん江/今村夏子(庄野潤三 長女)
などで構成されています。
弊社は2014年に『親子の時間』という、作家の小説撰集を刊行いたしましたが、そのあとがきにて、撰者の岡崎武志さんが陰惨なニュースを聞くたびに、私は「あーあ、庄野潤三を読めばいいのになあ」と思うのだった。
と書かれていますが、まさにそう思います。
その文章の正確さ。家族にたいする愛情。
庄野潤三のような作家は、ほかにいません。
読むと、あたたかくなる本です。
書店にて、ぜひ。
なお、本書は川崎の生田にある庄野潤三の家が一般開放されることにあわせてつくっています。
今年から、秋分の日、建国記念日の年に2日だけ、「山の上の家」が一般開放されます。
仔細は追って、弊社ホームページにお知らせいたします。

【著者略歴 について
庄野/潤三
1921年大阪府生まれ。住吉中学、大阪外国語学校英語部卒業。その後九州帝国大学で東洋史を専攻、2年次に海軍に入営。戦後、教職、朝日放送勤務を経て小説を書き始める。1955年『プールサイド小景』により芥川賞受賞。65年『夕べの雲』により読売文学賞受賞。他の著作に『静物』(新潮社文学賞)、『絵合わせ』(野間文芸賞)、『明夫と良二』(赤い鳥文学賞、毎日出版文化賞)など多数。

【読んだ理由】
古くてあたらしい仕事」を読んで。


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