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「家族はこわい」に続いて精神科医・斉藤学氏の著作を読んだ。
著者の説く「父親の仕事」は、
①その本質は「区切ること」。これと対になる母性の本音は「包むこと」。
父はまず、「このものたちに私は責任を負う」という家族宣誓することにより、自分の家族を他の家族からつまり区分する。
つまり「内と外とを分かつ」。
②父は正と邪を区切る。
掟をしき、ルール(規範)を守ることを家族メンバーに指示するのは父の仕事。
父は世の掟の体現者としてこの仕事を行うから、家族という閉鎖空間に世の中の風を送り込むという役割を果たす。
③母子の癒着を断つこと。
父を名乗る男は、妻と呼ばれる女を何よりも、誰より大切にするという形で、この仕事を果たし、子供は父のこの仕事によってようやく、母親という子宮に回帰する誘惑を断念することができる。
子供が尊敬するのは父親の腕力でも経済力でもない、他者である妻を大切に思う人として父は子に敬われる。
④母という子供にとっての絶対者の価値を相対化すること。
子供に耽溺する母が、その価値観を子供に押し付けようとするとき、別の価値観を提示することによって子どもを母の侵入から守るのは母の仕事。
本書から私のお気に入りの部分を紹介する。
『今、テレビの前の人々はコロセウムで剣闘士の闘いを見ているローマ人のようだ。スリルと血を求めて舌なめずりしながら、ひきずり出されてくる「次の獲物」を待っている。悪意の汚臭に覆われた画面を、善人ぶったキャスターの説教付きで見るのが好きだ。そこでは今日の英雄が明日の悪役になり、その翌日には英雄も悪役も忘れられる。そうした気まぐれなモンスターに奉仕されるために巨大なエネルギーが費やされているにもかかわらず、ひとりひとりの視聴者は自分たちを「世間から忘れられた、哀れな弱者」と思っている。』
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善人面して、性質(たち)が悪いですね!