埼玉の家には、柿の木があった。
以前は、家の敷地に大きな柿の木が3本あり、小さな畑には2本の柿の木があった。
だから、秋になると何百個も採れて、生きていた義兄が送って寄越したり、近くの保育園に寄贈したりしていたのだった。
義兄がなくなってから、大きな木は管理が難しいので、家の敷地の大きな木は皆切り倒してしまった。
柿の木も3本切ってしまった。
畑の柿の木も、隣接する家の敷地に落ちたり汚したりするので、2本のうち1本を切ってしまった。
残ったのは、1本だけ。
だが、その木も樹勢が弱ってきているので、実る柿の実は少ない。
今年は、猛暑だったので、なおのこと実の数が少ない気がした。
でも、せっかくの秋の実りだからと、娘と収穫しに行った。
低い方の実は、手もぎ。
以前に比べて元気になった娘が、登りやすそうな木の様子を見て、するすると少し登って7個ほど取って寄越した。
あの不安定だった娘の足腰がここまで強くなって木登りする姿は、喜ばしいものだった。
手が届かないところには、秘密兵器があった。
なぎなたのように見える、柿もぎ専用機(?)。
この赤いフックのような部分に柿の実の枝をひっかけ、ひもを下に引くと、刃が出てチョキンと切ってくれる。
最初は使い方がよく分からなかったが、今はもう慣れたので次々と実を落とした。
収穫できた個数は約50個。
30個くらいかと思っていたら、予想より多かったのはうれしいことだった。
この柿は、渋柿ではないので、すぐに食べることができる。
さっそく、夕食のテーブルに乗ったのをいただいた。
少し硬かったけれど、今年の初物として、それも楽しみながら食べた。
実って食べられるものがあるって、なんだかとっても豊かな生活だなと思ったよ。