ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

今年の大会も、マラソンのち遠足&我慢大会④ ~新潟シティマラソン2023~

2023-10-11 16:57:45 | RUN

脚は完全に痛みだらけになった。

きつさに負けて、ついに歩くことも多くなってきた。

うつむいて下を向いて歩いていると、急に幼い子の声がした。

「アルビ、がんばれ~!!」

今回も「アイシテルニイガタ」のアルビユニを着ている私を見て、声援を送ってくれたのだ。

顔を上げて、その子に思わず手を振った。

なんてうれしい声援だろう。

こんな、走れなくなっているみじめな自分に、声をかけて応援してくれるなんて。

そのありがたさに、このジイさんの目から涙がこぼれた。

無理をしてでも走っている姿を見せたい、そう思って、脚が痛いけど走って進んでいった。

 

そのツケは、すぐに来た。

200,300mくらい走っただけなのに、前よりも太ももの外側から腰にかけての痛みが強くなってしまい、走るのを止めて歩くしかなくなってしまった。

 

32kmポイントの第9エイドを過ぎる。

すると、分水の水の上を気持ちよさそうに上流に向かって進む、屋形船に近い形の遊覧船が見えた。

気持ちよさそうだなあ、…と思いつつ、向こう岸には先を行く速いランナーたちが走っているのも目に入った。

 

33㎞、完全に歩くことが中心になってきた。

当然ながら、なかなか進まない。

この土手道はなんて長いんだ!と思う。

いよいよ「遠足」が本格化してきた。

 

でも、お楽しみは、第10エイド。

ここの給食には、去年食べたアイスの「もも太郎」が置いてあるはずだ。

楽しみ、楽しみ~…と思って近づいていくと、

…ない!ない!!もも太郎がない!!!

ガ~ン!品切れですか!!?

仕方ない、ご飯でがまん。

楽しみにしていたのになあ…。

名残惜しく通り過ぎた。

 

土手道はまだ続く。

下の道には、35kmを折り返した人たちが走っていた。

あの「ティンカーベルさん」も見えたから、声をかけた。

「相変わらず元気だねェ~!」

「ありがとうございま~す!がんばりましょー!!」

と、彼女は笑って手を振り走っていた。

すばらしいね。

35kmの折り返しは遠かった。

時々、勢いよく走って私を抜いて行く人がいる。

元気だなあ、どうぞ先に行っておくれ。

目の前のランナーには、走っては歩き、を繰り返す人がいる。

同じことを、自分も繰り返す。

みんな、同じなんだなあ。

脚が痛くて、走れる体じゃなくなっているんだよ。

痛みに耐えながら、歩く、走るになっている。

「マラソン大会」は、「遠足」を通り越して「我慢大会」になっていた。

 

ようやく35kmを折返し、下の道に出た。

私同様に、歩き中心時々走りの人が多い。

走ると50歩ほどで脚が痛くて、走り続けられない。

歩きながら、時折眠くなった。

まだあと7kmも歩くのか。

…これこれ違うだろ、走るのか、だろ?

がんばれ、がんばれ、我慢大会。いや、マラソン大会!

 

36.5kmで、第11エイドがある。

先ほどの第10エイドと兼ねているのだけど、やっぱりもも太郎はなかった。

内臓も疲れて、ぐちゃぐちゃになってきた感じ。

食べ物もスポーツドリンクも、気持ち悪いような気がして、水だけ流し込んだ。

 

道は、国道116号の平成大橋に上る。

この橋上で、少しうれしい表示発見。

あと5km。カウントダウンを感じるものの、まだ5kmもある、ということも事実。

 

再び土手道に出て、前に進む。

関屋分水の雄大さを感じる。

 

残り4kmを切ったところで、急にまた名前で呼び止められた。

後方から汗をかきながらも笑顔で近づいた彼は、30代男子。

7年前、同じ職場にいた若者だった。

近年走り始め、去年も出場していたのだという。

まだ走れている彼の足取りはまだ動いていて元気だった。

できれば後をついていきたかったが、固まった脚は、100mほどしかもたず、追いかけるのは断念した。

 

38.9kmの第12エイド。

給食はここが最後。

今は気持ちが悪いので食べられないが、後でいただこうと、2つ3つお菓子をとって、ポケットにしまい込んだ。

すぐに関屋分水と信濃川を分ける本川大橋があり、その橋上に市橋有里さんが応援してくれていた。

ここで万代橋以来2度目のタッチ!

残りは3kmしかない、とも思う。

ところがここからわずか3kmが途方も長く感じるものなのだ。

 

40km地点でも、さまようゾンビたちと少しでも走って早くゴールに着こうとするランナーの姿が交錯する。

右側の信濃川沿いのやすらぎ堤には、柳の木がずうっと植えられている。

さすが、柳都新潟。

その柳の木のそばを幽霊ではなく、ゾンビたちが歩く。

私も、しっかり “ONE of the ZOMBIES”

 

最後のエイド、第13エイドは、スポドリと水だけ。

スポドリを入れる紙コップがなくなったのか、コカ・コーラの赤い紙コップだった。

コーラだったら、いいなあ。

今はスポドリ飲み過ぎて気持ち悪い。

コーラを飲んで、げっぷして、気持ちよくなりたい~!!

 

41km。

この表示で元気を出す人も多いけど、走っては見てもすぐに歩きに戻る人も多い。

「あと1kmですよ~。」と励ましてくれる係員の方の声も弱々しい。

それは、ランナーたちの走れなくなって歩いている姿と、疲れ切った表情から、元気な声をかけられなくなっていたからだ。

 

そんな時、後ろから走ってきて横に並んだ人が話しかけてきた。

あの、26km付近で置いて行った(?)、Nさんだ。

「いや~、あと1kmだと思うと、元気が出ましたよ。」

と言いながら、駆けていく。

その足取りは元気そのもの。

なんだ~。一度抜いた人に逆転されるのは悔しいぞ~。

と思って、抜かれた後、少し追いかけて走ったが、やっぱり余力はない。

両脚の痛みからひたすら歩いては走りを繰り返すしかないので、Nさんが遠ざかるのを見るしかなかった。

過去のレースでは、Nさんより遅くなったことがなかったので、無念でもあった。

 

でもね、完璧に練習不足の今回の目標は、完走なのだよ。

誰に勝った、負けたではなく、最後はスタジアム内のトラック、ラスト100mを走ってゴールするのだ。

 

そして、ついに、新潟市陸上競技場に到着。

入ると、すぐそこに、さっき本川大橋で会った市橋有里さんがいた。

どうやって近回りしてきたのかな?

まあ、いいや。

「今日は、3回も会えました。応援ありがとうございました!」

とお礼を言って、3回目のハイタッチ。

 

残り100m。トラックを駆け、今年もゴール付近で声援を送る日本文理高のチアの皆さんに「ありがとう」を言いながら、フィニッシュゲートを駆け抜けた。

参加賞となる大きなタオルをかけてもらいながら、自分の時計を見ると、5時間37分50秒を示していた。

去年より10分遅くなったけど、「6時間完走大作戦」は、かなったことになる。

そのことを喜ぶことにしよう。

 

猛暑で8月のRUN練習日ゼロ。

9月も猛暑が続き、事前には13kmを2度走った程度の準備。

おまけに、2週間前から襲われた腰痛。

そんな準備不足にもかかわらず、去年や今までの経験をもとにして6時間完走を目指した大会だった。

完走した中で、自己ワーストの記録だったので悔しい思いもあるが、今の自分としてはこれが精一杯。

マラソン大会と遠足と我慢大会の3つを終えた気分。

よくがんばりました。

「お疲れさま」 to myself 。

 

(なんちゃってランナーである私の、長~いマラソン奮闘記をゴールまで読んでくださった方々、ありがとうございました。)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする