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シネ・ヌーヴォは今日まで山田五十鈴追悼特集。戦争に負けて12年後の東京が舞台。主要な役割の登場人物の演技は、当時若手の有馬稲子を含めて陰影が濃くて間合いがいい。原節子は役柄もあってかやや抑制気味の演技だった。出番は少なかったが、山田五十鈴と言う人の、悲しみを押さえた人物作りに、この人の持つ名声は本物だと思った。小津映画にしては「人は哀しいものだなぁ、生きるって辛いものだなぁ」という、リアリズムに徹した映画だった。当時の雀荘もシーンによく出て、自分の学生時代の雀荘の雰囲気を思い出したのは、思わぬ収穫だった。12:10上演なのに、かなり前から60代以上の男女が映画館の中で一杯待っていた。Nさんを待ってチケットを買ったら、ナンバーが44番と45番で驚いた。この映画を観たいと思う同年輩が一杯いるのだ。 この映画館とか、十三の「第7芸術劇場」とか、小さなハコの映画館が本当の映画を上映してくれて、客が集まると言うのは嬉しい。往きは阪神御影ー阪神尼崎ーなんば線ー九条。帰りは地下鉄中央線九条ー本町ー御堂筋線梅田ー阪急神戸線で帰りました。
「東京暮色」
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1957(S32)年/松竹大船/白黒/スタンダード/140分
監督:小津安二郎/脚本:野田高梧、小津安二郎/撮影:厚田雄春
出演:原節子、山田五十鈴、有馬稲子、笠智衆、高橋貞二、田浦正巳、杉村春子、山村聡、信欣三、中村伸郎、宮口精二、須賀不二夫
◆二人の娘を残して母親(山田)が愛人と家を出ていった、男手一つの家庭の物語。しっかり者の姉(原)、年下の学生の子を身篭った妹(有馬)、
変転の果てにひっそりと麻雀荘を営む母親…。人生の悲哀を、甘い感傷に溺れることなく織り上げた小津の暗く悲観的な印象を残す傑作。
webから引用(引用元)
この「東京暮色」は、当時すでに溝口作品や黒澤作品などを通じて大女優だった五十鈴さんが、唯一出演した小津作品です。
単にそういう意味でもレアな仕事の一つと言えるかもしれません。しかし、それよりなにしろ、この「東京暮色」での雀荘の女主人喜久子役がなんとも渋いんですよね。ものすごくいい演技をしていると私は思います。
小津作品の中でも「失敗作」として名高い(?)この「東京暮色」。今観ると、まさに現代を象徴するような暗さに満ちた作品ですね。昨日の超「脳」力の話で言えば、やはり小津安二郎は「予言者」だったわけですね。
まあそれにしても暗い映画ですなあ。戦後10年やそこらで、もうこんなに現代的になっていたんですね、日本は。ちょっとあらすじを読んでみてくださいよ。wikiから拝借。
杉山周吉(笠智衆)は銀行の監査役を勤め、男手一つで二人の娘を育ててきた。ところが、姉の孝子(原節子)が夫との折り合いが悪く幼い娘を連れて実家に戻ってくる。妹の明子(有馬稲子)は大学を出たばかりだが、遊び人の川口(高橋貞二)らと付き合ううち、恋人の木村(田浦正巳)の子をみごもってしまう。木村は明子を避けるようになり、明子は木村を捜して街をさまよう。中絶の費用を用立てするため、明子は叔母の重子(杉村春子)に金を借りようとするが断られ、重子からこれを聞いた周吉はいぶかしく思う。
その頃、明子はとある五反田の雀荘の女主人喜久子(山田五十鈴)が自分のことを尋ねていたことを聞き、実際に話もして、その女性こそ自分の実母ではないかと姉の孝子に質すが、孝子は即座に否定する。しかし、重子の口からやはり喜久子が都内にいると聞いた孝子は自ら喜久子のところへ赴き、明子には母であることを告げないでほしいと強く頼む。喜久子はかつて周吉が京城(ソウル)に赴任していたときに周吉の部下と深い仲になり、夫と幼い娘たちを出奔した過去があったのだ。
明子は中絶手術を受けた後で、喜久子がやはり自分の母であることを知って喜久子の元に赴き、自分は本当に父の子なのかと母を質す。喜久子は間違いなく明子が周吉の子であるというが、「不義の女性」の血が自分に流れていることがかえって明子を絶望させる。明子は場末の中華料理店で不意に木村と出くわすが、その不誠実な態度にも絶望し、木村を激しく叩いて店を飛び出す。明子は鉄道にはねられ、瀕死の重傷を負う。駆けつけた父と姉の前で明子は「死にたくない」ともらすが、息をひきとる。
孝子は一人喜久子の元に赴くと明子が死んだことを伝え、すべて母の所為であると言い放つ。「自分の子どもに片親の苦しみを味わわせたくない」と孝子は意を決して夫の元に戻り、喜久子も現在の夫と共に東京を離れて北海道へ赴く決意をする。周吉はひとり日常生活へ戻っていく。