阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

山藤章二著「老いては自分に従え」を読むと、落語がヤマフジさんの血と肉を作ったことがよくわかる。

2019年08月26日 | 乱読は楽しい

自分が素直に読んで面白い本というのに共通点がある。それは作者が1945年8月15日以前に生まれ、その折に中学生か小学生であった人だ。

考えてみるとこの世代の人と、徴兵されたり学徒動員で従軍した世代の人が書いた本を読むことが多い。

(野坂昭如、五木寛之、小田実、庄野潤三、水木しげる、吉村昭など)

1945年の8月15日まで「出てこいニミッツ、マッカーサー、出てくりゃ地獄に逆落とし」と言って過ごした学童が、

月の新学期になると教科書のいろんな文章を墨で黒く塗りつぶす作業をした連中だ。

山藤さんは昭和12年生まれだからまさにその世代の人だ。

山藤さんには週刊朝日のブラックアングルでに長く親しんできた。自分で時代がサブカルチャーにも光を当てるようになった時代に世に出てよかったと言っている。

確かにご政道の有難さに感謝して世の中を渡ってきた人ではない。そこの所に自分は魅かれてきた。彼は実際に志ん生や文楽などの落語を沢山生で味わっている。

阿智胡地亭も父親が落語好きだったから、円生、志ん生、文楽などをラジオで一緒に聞いて親しんでいた。今となっては貴重な小学生時代の体験だとわかる。

この本を読むと山藤さんの人間性が落語をバックに出来上がったとわかがる箇所が多い。世の中をご隠居の眼と八つあんの眼で見ると本当のことがわかる。

 また自分が近現代史を学校で習わなかったとずっと思ってきたが、彼もそのことを感じている事が書いてあって、同じ思いだなと感じた。

       教えないことで得をしている連中のほくそ笑んでいる顔は想像できるが・・・

「最も関心を持つべき、そして知っておくべき百年間ほどの“近現代史”の部分がポッカリ穴が開いているのだ。」👇

本の内容 出版社のサイトから:インターネットは全く無縁,原稿は手書き,もちろんスマホは持っていない――.喜寿から1年,「老境に入った」と語る著者が,いま思うこととは? 「時代遅れこそ粋」をモットーに,世相・文化・社会を筆のおもむくまま,自在に論じてゆく.独自の一人語り調文体はますます冴えわたり,愉快な中にも骨のある書き下ろしエッセイ.

著者紹介:山藤章二(やまふじ しょうじ)
1937年東京生まれ.武蔵野美術学校デザイン科卒業.広告会社をへて,64年独立.講談社出版文化賞(70年),文藝春秋漫画賞(71年),菊池寛賞(83年)などを受賞.04年,紫綬褒章受章.
主な著書に『山藤章二のブラック・アングル25年全体重』(朝日新聞社),『アタクシ絵日記忘月忘日』1~8(文春文庫),『山藤章二イラストレーション器用貧乏』(徳間書店),『山藤章二戯画街道』(美術出版社),『山藤章二の顔事典』(朝日文庫),『対談「笑い」の構造』『対談「笑い」の解体』『対談「笑い」の混沌』『山藤章二のずれずれ草「世間がヘン」』『駄句だくさん』(以上,講談社),『カラー版 似顔絵』『ヘタウマ文化論』(以上,岩波新書),『まあ,そこへお坐り』『論よりダンゴ』 『自分史ときどき昭和史』(以上,岩波書店)など


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