2023年5月22日 6時00分 2体の縄文土偶と黒曜石の関係について対談する宮坂さん(左)と鵜飼さん
茅野市のちの地区コミュニティセンターで21日、「2つの国宝土偶と黒曜石」と題したトークイベントがあった。下諏訪町諏訪湖博物館・赤彦記念館館長で同町の星ケ塔遺跡の調査研究に携わった宮坂清さんと、同市尖石縄文考古館元館長で諏訪考古学研究会会長の鵜飼幸雄さんが対談。市民ら約50人が参加し、縄文ロマンに浸りながら2人の話に聞き入った。
鵜飼さんは初めに「全国で5体の国宝土偶のうち2体が茅野市の八ケ岳山麓の4キロほどの範囲から出たことは、黒曜石という特産物があったことが大きな要素」と強調。その上で、「黒曜石が縄文時代にどういう意味があって流通したかなどを宮坂さんから聞いてその背景を考えていきたい」と語り掛けた。
宮坂さんは、1920(大正9)年に鳥居龍蔵が星ケ塔遺跡を発見し、昭和30年代には藤森栄一が縄文時代晩期に黒曜石が採掘されていたことを突き止め、その40年後に宮坂さんらが大規模な採掘跡を発見したことを写真や図を用いて説明。同市米沢の棚畑遺跡から多数出ている黒曜石の原石は星ケ塔で採掘されたものとみられ、棚畑に運ばれて道具になったことに触れ「縄文人との関わりは深い」とした。
鵜飼さんは、国宝土偶の「縄文のビーナス」(棚畑遺跡)と「仮面の女神」(中ッ原遺跡)の発掘状況を説明しながら、縄文人は女神信仰を持っていたと考えられることや、黒曜石の原産地が近いことから道具に加工するなどの技術者集団がいたと思われることも話した。
トークイベントは、同市の女性有志のグループ「縄文どんぐりカフェ」(鵜飼恭子代表)が「国宝土偶絵本プロジェクト」の一環で開いた。
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