三位一体節後第19日曜日にきくのは、ヘルムート・リリングたちによる「われはいずこにか逃れゆくべき」(Hänssler CLASSIC CD 92.002)です。このBWV5(全7曲)は1724年10月15日の初演。ヨーハン・ヘールマンの同名コラールによもとづいており、詩(全11節)の第1節が第1曲の、第11節が第7曲の歌詞、つまりBWV5は、いわゆるコラール・カンタータです。
リリングたちの録音は1979年。管弦楽と合唱はいつものように、シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムとシュトゥットガルト・ゲヒンゲン・カントライで、独唱者はアーリーン・オジェー(ソプラノ)、キャロライン・ワトキンソン(アルト)、アルド・バルディン(テノール)、ヴォルフガング・シェーネ(バス)です。
ところで、「われはいずこにか逃れゆくべき」というと、「シュープラー・コラール集(種々の技法による6つのコラール)」の同名オルガン・コラール(BWV646)が想起されます。ただし、BWV5の楽章にはその原曲はなく、オルガン・コラールの原曲は不明。おそらく、失われたカンタータ楽章がそれだと考えられています。