先週からカンタータでの休みをはさんできいてきた、トマス・ツェートマイアーによる無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ。ツェートマイアーは、ソナタとパルティータでヴァイオリンを使いわけ、弓も2本使用し、2度目の録音(2016年)にのぞみ、とても多彩なアーティキュレーションによって、強靱さと繊細さをかねそなえた音楽づくりをしています。伸ばす音などにモダンっぽさもありますが、即興的な装飾もあり、どのソナタもパルティータも、じつに楽しめます。
これからきくパルティータ第3番(BWV1006)のプレリュードでは、硬めに鋭く入ったと思えば、すぐになめらかにひいたりと意表をつかれるところも。舞曲の楽章はやや硬質感がありますが、音楽は美しく躍動しています。使用楽器はほかのパルティータと同じく、南チロルの無銘ヴァイオリン(1685年ごろ)。弓はティルマン・ムテージウスか、ゲアハルト・ラントヴェアを使っているようですが、どの曲にどの弓を使っているのか、ツェートマイアーの解説には明記されていません。
CD : ECM 2551(ECM Records)