奄美 海風blog

写真。植物や本 ネットで映画感想。相撲見てツイート
04年4月~14年11月ブログ人
トップへはタイトルをクリック

西郷どん:第23回「寺田屋騒動」 視聴率は13.4% ←前回と同じ

2018年06月19日 | 歴史 民俗
西郷どん:第23回「寺田屋騒動」 視聴率は13.4%
長州藩の尊王攘夷運動の先頭に立つ久坂玄瑞、土佐の吉村虎太郎(のち寺田屋事件で捕縛)などとの宴の席。
西郷は、久光卒兵上京にいろめきたつ過激な志士たちの動きをけん制しようとしているのだった。
血気にはやり硬い表情の面々の前で、西郷は胡坐をかいて、ひとり飯を食い始めた。
長い(3年半)、島暮らしのくせが抜けない兄さあの泰然とした態度に、弟の信吾(従道)があわてている。
土佐の吉村「西郷殿は、まっこと、このこのお方で間違いないですろうかい、久坂さん」
日本のために
飲んで腹いっぱい食って、とことんやりもんそ。
吉村「やるぜよ」
とか言った。
「一献いきもんそ おゆうどん」
ここでテーマ曲 ちゃんちゃか、ちゃかちゃーん、実によく合う音楽だ。
美人のおゆうどんもたぶん西郷に惚れてはる。
京には、どうか知らないが、こん曲はチェストの薩摩や南の島の躍るような軽やかさがあって
このドラマ向きだ。(テンポとぼりゅうむを落とすとどこか祭りのあとの悲しさも醸し出すのだが)
西郷の一言に、となりの部屋に待機していた京のきれいどころが一斉に席へ繰り出す。
「飲んで歌って踊るっ、これが島のやり方でごわす」っち言って、これは六調だろか、西郷が
立ち上がり、もろ手を上げて躍り出した。三味線はおゆうどんが弾いている。
と、そこへ大久保が、久光からの「切腹」の沙汰をもって厳しい表情で現われる。
刀も差している。大久保はおこっている。
座は静まり、西郷は両手をあげたままできょとんとしていた。
ドラマでは、
あとは、生き死にの話の途中、腹の鳴のおと。
初めての京で昔の貧乏を思い出し、薩摩の若い衆はこんな時に、甲突川のウナギ獲りの話。
島送りになった西郷を、お福(といったかな?あ、お虎さんだ)さんが、あまり女前?ではない顔で、坂をころがるように追いかけてきて、笑わす。(女にめっぽうモテて、男にも惚れられる西郷は、虎さんのような女の人を追いかけたいう話は他の歴史の本でも読んだ記憶がある。)
男は、三年に一度それも片ほほで笑えばよかっ!ちいう鹿児島の人がみたらこんなドラマの展開は好かん、見ちゃおれん!ど、っち言ってオコルかもしれん。
昔、島の人で朝潮が負けるとラジオを打ち壊したおじいさんがいたものだ。
そろそろ日本タイコロンビアの試合が近づている。落ちをつけなければ。
まあ、ドラマ冒頭で島の躍り、そして最後のほうでは島の三線を弾く西郷の姿があった。
その間、ドラマは、久光に対し、孝明天皇(ほんの少しだが顔をみせる)の、京の浪人鎮撫の望みを伝える近衛忠房。それを受けた久光の、ある意味他藩の志士たちにたいする裏切りにもなる凄惨な粛清の現場(薩摩の定宿寺田屋)など、前後の歴史の複雑な展開は、とてもかいつまんで説明することは難しい話だ。
そもそも、このドラマは、たぶん女性の視点から、それまで等閑視された奄美での西郷をやや詳しく描いて今までの西郷像を相対化しようとしているように見える。
30代の、都合5年あまりもの時間を南島で暮らし、「とんと島人になりき」った西郷の壮年期を本格的に取り上げた歴史家はいない、という不思議。歴史だから仕方ないか。
====
実は、そのことに、いちはやく気づき1975年に、西郷と同じくよそから奄美やってきて西郷のおよそ四倍の期間名瀬に住むことになった島尾敏雄と対談した橋川 文三(1922年 - 1983年 日本の政治学研究者、政治思想史研究者、評論家)の本をきょう図書館で借りた。
 
西郷隆盛紀行 (文春学藝ライブラリー) 文庫 – 2014/10/17
橋川 文三 (著)
p29~100 西郷隆盛と南の島々ーーー島尾敏雄氏との対談 1975年3月20日夕べ 名瀬市南風荘にて 初出『伝統と現代』47号 1977年8月刊
島尾敏雄は、奄美、沖縄で「もうひとつの日本」に気づき、「琉球弧」を「ヤポネシア」と名付けた。
島の西郷は当時沖縄を意識したのだろうか、しかし、斉彬に心酔し尊王攘夷の運動に大きな影響を受けた西郷は島での薩摩藩の苛政を目の当たりにして、次第に藩や幕府、それに天皇に対する思いにも相対化する視点をもつようになったはずだ。
そう思えば、京の宴席で六調べを躍るドラマの展開にも意味を見出せるというものだ。
明治維新「最大の立役者」と政府に背いた「逆賊」というパラドックス。近代日本の矛盾を一身に体現した西郷隆盛の謎にせまるとともに、奄美の歴史の面白さに気付かせてくれる。
まだ読了したわけではないが、ぴーひゃらどんどんの維新史に飽きたら、読んでみたい。
文春学藝ライブラリーでタイトルもあれだが、対談本で読みやすく知的刺激に満ちた内容だ。
この記事はサッカーが終わったらもう少し加筆したい。