それしか乗れない

遊園地に行くと、必ず観覧車に乗る。
というよりも、それしか乗れないと言った方がいい。
スリルのある楽しそうな沢山の遊具を尻目に、どこからでも見つけることの出来る，観覧車を目指して行く。

あのゆっくりとした動きが好きである。
ゆっくりゆっくりと次第に開けていく視界が大好きだ。
地面から離れていく自分が、いとおしいような気分である。狭い閉鎖された空間にありながら、視界の全てが自分一人のもののようで、嬉しい。だからよく晴れた時に巡り会わなければ、その日は観覧車は敬遠して、その下のベンチで、カラフルな箱の動きを眺めている。

菊人形を見た日は、白い雲が高い空にあるものの、よく澄んだ空の中の空中散歩を満喫することが出来た。