青い空をバックにススキを撮ろうと、しゃがみこんで、膝をついた。
その目のすぐ前に紫色の可愛い花が咲いている。
たった一本だけなのに、ススキにばかり気をとられて目に、限りなく優しく映った。
散策道のすぐかたはらに咲いていて、きっと沢山の人の目についていただろうし、何気なくススキばかりに気をとられていたら、ひょっとしたら、踏まれててしまっているかもしれないのに、けなげなくらい元気に咲いているのは、ここを訪れる人の優しい気配りに違いないと思った。
幾つかついている蕾が、安心して花開く場所であることを、願う気持ちで、再びカメラを青空に向けた。