台風の後の庭は、金木犀の絨毯だ。
あれだけ香っていたのに、地面に散り敷かれると、もう香りがない。
台風が香りを連れて行ってしまった。
木に縋り付くように残った少しの花に、顔を寄せてみたが、もう香っていない。
華やぎの時は短いから、この花は、、あんなに必死にいい香りを放つのだろうか。
たとい台風が来なくても、短い花の時期の後は、オレンジ色で、庭を彩るのだから二度楽しませてくれる。
葉っぱの影が、吹き溜まりになったようで、まるで誰かが集めてきたように、塀の瓦の一枚に花が集まっている。
まだ水分を十分に含んでいて、ふぅっと息を吹きかけても飛ばない。
いつか、からからになって、落ちるまでそのままにしておこう。