動力機械の音が朝から裏で賑やかに聞こえる。
窓を開けると稲刈り機が向こうの田圃に向かって動いている。
稲刈り日和の晴天だ。
きっと今日は仕事が運びそうだとゆっくり動いて行く機械を見送った。
直ぐ裏の田の稲刈りはまだしていない。
きっと、休日になるのだろう。
夕方畦道を辿っていくと、稲刈りの終わった田が、2枚見えた。
朝、コンバインが行った先はここだったのかと、稲の匂いの残った田を眺めていると、頭の上でけたたましいほどの雀の鳴き声がした。
落ち穂拾いの雀たちが、鉄塔に集結している。
しかし激しく鳴き声をあげているだけで下には下りてこない。
一斉に飛び立ったかと見ている間に、みんなまた戻ってくる。
私が居るから下りてこないのかと思い、家に戻った。
「安心して下りておいでよ」
そう思いながら、窓から鉄塔を眺めていたが、やはり、飛び去っては戻り、同じ動作の繰り返しだ。
原因はこれだった。
まだ稲刈りの済んでいない向かい側の田で、キラキラテープと、ペットボトルのカラカラが、折からの風に吹かれて、ヒラヒラと大きく揺れ、ガラガラと音を立てて回っている。
スタンバイした雀たちの用心深さが、着地を妨げているのだった。
鉄塔の周りのどの田の稲刈りが済むまで、雀たちのスタンバイは続くのだ。
「早く、レッツ ゴー できると良いね。」