Dr.Horiiのひとりごと

徒然なるままにクルマや日々の出来事を書きとめた雑記帳です。
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燃料装置2

2020-12-23 21:51:14 | 目指せ3級整備士?

前回の続きです。

図1.キャブレターの基本構造(再掲)国際文化カレッジ 自動車講座 転載許可 以下同

 

図1と異なり、実際のキャブレターにはいろいろな補正装置が設けられている。

補正装置は、エンジンの低速(低負荷)運転、高速(中負荷)運転、加速運転、始動の

各段階に対応して作動するようになっている。(これらの補正装置をキャブレターの系統と呼ぶ)

1.低速系統

図2.低速系統の作用(1)

図1.にはない”アイドル・ポート”や”スロー・ポート”が下のほうに描かれています。

 

この低速系統はエンジンのアイドリング状態、始動時や制動時の低速回転状態のときにガソリンを供給する。

a)アイドリング状態のとき

アイドリング状態は、スロットル・バルブがほとんど閉じられた状態なので、

ベンチュリー内を通過する空気の流速が遅く、メーン・ノズルからガソリンを吸い出す

十分な負圧もないので、スロットル・バルブの開度に関係なくエンジン側の負圧に

作用するアイドル・ポート(idle port)という噴出口が設けられている。

このアイドル・ポートから噴出されるガソリンは、スロー・ジェット流量が計算され、

またスロットル・バルブが閉じられているために空気量が少ないので、エア・ブリード(air bleed)

から空気を混入させて、微粒化を促進させている。

 

b)始動時および制動時の低速回転状態

図3.低速系統の作用(2)

図2.にはないスロー・ポートからのガソリンの噴出が描かれていますネ・・

 

低速回転(アイドリングも含めて)では、メーン・ノズルからガソリンを

吸い出すだけの負圧がなく、逆にメーン・ノズルから噴出させるほどのガソリンを必要としない。

しかし始動時や制動時の低速運転では、アイドル・ポートからの燃料だけでは

不足するので、アイドル・ポートのさらに上部にスロー・ポート(slowport)

が設けられ、噴出量が増えるようになっている。

図3.のようにバルブがやや開いてスロー・ポートが開かれると、

この部分にも負圧が作用し、ガソリンが噴出する。したがって吸入負圧は

アイドル・ポートとスロー・ポートに作用して両方からガソリンを噴出する。

このように、スロー・ポートは、スロットル・バルブの開度が小さくなったとき、

エンジンの回転を保ち、またメーン・ノズルからガソリンが十分に噴出されるまでの、

いわば「つなぎ」の役目をしている。

 

2.高速系統

図4.高速系統

 

高速系統は、エンジンが高速・中負荷運転の状態で、チョーク・バルブを全開にし、

スロットル・バルブは1/3~1/2くらいに開いているときに作動して、混合比を一定に保つはたらきをしている。

高速系統では、フロート・チャンバーから流出するガソリンは、メーン・ジェットで計量され、

メーン・ノズルから噴出するが、エンジンの回転速度を上げるためにスロットル・バルブの

開度を増していくと、ベンチュリーに生ずる負圧が大きくなってガソリンの流出量がふえ、

混合気は次第に濃くなってしまう。

そこで、この傾向を補正して混合比を一定に保つためには空気を余分に

供給する流路を設ければよいわけで、そのため高速系統では図4.に示してあるように、

メーン・ノズルの手前にメーン・エア・ブリードが設けられている。

 

あと系統の説明は

3.全出力系統

4.加速系統

5.始動系統

と続きますが、長くなりそうなので次回にします。

 

コメント
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