(2月13日 ツァンギライ首相の就任演説を聞こうと首都ハラレのスタジアムに集まった人々 “flickr”より By Foreign and Commonwealth Office
http://www.flickr.com/photos/foreignoffice/3275703507/)
【不運な“事故”】
アフリカ・ジンバブエから嫌なニュースが。
****ジンバブエ首相の車にトラックが衝突、自身は軽傷も夫人が死亡****
ジンバブエの首都ハラレで6日、同国のモーガン・ツァンギライ首相が乗った車にトラックが衝突する事故が起きた。この事故で首相は軽傷を負っただけだったが、スーザン夫人が死亡した。同首相が議長を務める民主変革運動(MDC)が明らかにした。
MDC関係者はAFPに対し、「ツァンギライ首相(の乗った車)に運送トラックが衝突した。トラックの運転手は居眠り運転をしていたようだ。首相は7日に集会を開く予定になっていたブヘラにある自宅に向かっている途中だった」と語った。
ツァンギライ首相は、長年の政敵であるロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領との連立政権に参加し、3週間前に首相に就任したばかり。【3月7日 AFP】
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これまでジンバブエ情勢については何回も取り上げてきました。
(最近では、2月14日ブログ「ジンバブエ 新内閣発足するも、厳しい先行き」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090214)
昨年3月の大統領選後混乱が続いていたジンバブエでは、ムガベ大統領との激しい政治抗争の末、野党・民主変革運動(MDC)のツァンギライ議長が首相に就任する形で、ムガベ大統領との連立政権が2月13日に発足したばかりでした。
病院には、宿敵ムガベ大統領も駆けつけたそうですが、各紙が「今回の事故に政治的背景があるかどうかは不明だ。」とコメントしているように、どうしても“下衆の勘ぐり”的な陰謀じみたことを連想してしまいます。
(小沢某なら“国策テロ”だと批判するところでしょう。)
今のところ、「トラックの運転手は居眠り運転をしていたようだ。」と事故を伝える一報だけで、それ以上の動きは報じられていませんが、各メディアや私が感じる疑念は、ジンバブエ国民も感じるところでしょう。
もし、単なる事故であったとしたら、実に不運と言うべきか、首相の命に別状がなかったとのことで、幸運だったと言うべきか・・・。
【相変わらずのムガベ大統領】
ジンバブエでは政治混乱が続く中で、歴史的ハイパーインフレーションを伴う経済崩壊に歯止めがかからず、コレラの感染も拡大しています。
ツァンギライ首相は5日、コレラの感染者は少なくとも8万5000人に達しており、死者数は4000人を超えていると述べた上で、この数字はコレラ被害を過小評価している可能性があると警告しています。
また、この惨状はジンバブエの医療制度崩壊を示すものだとも語っています。【3月6日 AFP】
一方のムガベ大統領は従来の姿勢を改める気配がありません。
農業副大臣に就任予定だったMDC幹部(黒人農家への再配分により農地を奪われた白人元農場主)が拘束される事態も起こっていますが、自身の誕生日に、白人農場主からの農地の強制収用について「引き続き推進する」と宣言しています。
****ジンバブエ:ムガベ大統領「白人農地の強制収用を推進」****
2月21日に85歳を迎えたアフリカ南部ジンバブエのムガベ大統領の誕生日を祝う集会が同28日、北西部チノイであった。欧米各国がジンバブエ制裁の根拠とする、白人農場主からの農地の強制収用について、ムガベ氏は「引き続き推進する」と宣言。与野党連立政権発足後、旧野党のツァンギライ新首相らが国際社会に対する再建支援要請に奔走する中、努力に水を差す形となった。
チノイ周辺は大統領の旧与党「ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線」支持者が多く、昨年も多くの白人農場主が大統領派の襲撃を受けて農地を追われた。「南部アフリカ開発共同体」(SADC)裁判所は昨年11月、農地強制収用は不当との決定を下したが、ムガベ氏は誕生日集会で、「白人農場主は農場を立ち退かなければならない。SADCの決定はナンセンス。農地問題はわが国の法廷が裁く」と、強気の姿勢に終始した。
地元関係者によると、この日の誕生会には年齢に合わせて85キロのケーキが用意されるなど、約25万米ドル(約2400万円)が費やされた。コレラ禍や食糧難で国民の窮状が深まる中、誕生会を盛大に祝う大統領の姿勢に批判も出ている。【3月1日 毎日】
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【ルワンダの記憶】
かつてルワンダでは、1994年4月6日にフツのジュベナール・ハビャリマナ大統領とブルンジのシプリアン・ンタリャミラ大統領を乗せた飛行機が何者か(「フツの過激派による犯行」と「ツチの犯行」の二説有り)に撃墜されたことに端を発して、フツによるツチの大量虐殺(ジェノサイド)が始まり、一説には約100日間で国民の10人に1人、少なくとも80万 - 100万人が虐殺が行われたとされています。【ウィキペディア】
今回間違ってもそうしたような事態が起きないように、一刻も早い事実の公開が求められるところですが・・・。