孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

行方不明のイスラエル人少年、遺体で発見 今度はパレスチナ人少年が拉致・殺害

2014-07-02 21:48:06 | パレスチナ

(テルアビブでイスラエル人少年3人の死を悼むイスラエル市民 【7月1日 ロイター】
ただ、ありきたりな言い様ではありますが、空爆や報復殺人で3人の命が戻るものでもありません。)

必ずハマスに代償を支払わせる
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ヘブロン近郊のユダヤ人入植地で、16~19歳のイスラエル人3人が行方不明になった事件については、6月21日ブログ「パレスチナの「オリーブ畑」も世界文化遺産登録 イスラエル人行方不明事件で高まる緊張」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20140621)で取り上げました。

イスラエル・ネタニヤフ首相は当初からイスラエルと敵対するハマスの犯行と断定。
イスラエル軍は、夜中にパレスチナ人の住宅を調べたりするなど大規模な捜索を行い、ハマスの幹部を含むパレスチナ人400人以上を逮捕しました。

イスラエルの治安当局は6月26日、ハマスに所属するヘブロンに住む20代と30代のパレスチナ人の男2人が関与しているとして、氏名を公表しています。

イスラエルの厳しい捜査に反発するパレスチナ人とイスラエル軍が各地で衝突、投石するパレスチナ人らにイスラエル軍が実弾を発砲し、これまでに10代の少年など5人が死亡しています。

パレスチナでは、イスラエルの捜索に協力する姿勢を見せているアッバス議長にも批判の矛先は向けられています。

また、パレスチナ・ガザ地区の武装勢力はイスラエル南部へのロケット攻撃を激化させ、イスラエル側もその報復としてほぼ毎晩空爆を行っています。

そうしたなか、行方不明になっていたイスラエル人3人は、30日遺体で発見されました。

****不明のイスラエル3少年遺体で発見、首相は報復を宣言****
イスラエルは6月30日、行方不明になっていた10代のイスラエル人3人を遺体で発見したと発表した。その上で、犯行に及んだのはイスラム原理主義組織ハマスだと断じ、必ず代償を支払わせると宣言した。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相は緊急閣議の冒頭で閣僚らに対し、「今夜3遺体を発見した。あらゆる証拠が3人の若い拉致被害者の遺体であることを示していた」と述べ、「責任はハマスにあり、ハマスは代償を支払うことになる」と断言した。

これに対しハマス幹部は、イスラエルが報復行為に出れば「地獄の門」が開くことになると警告した。(後略)【7月1日 AFP】
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パレスチナ自治政府を主導するファタハとガザ地区を実効支配するハマスは暫定統一政府を樹立したばかりで、ハマスは一貫して事件への関与を否定しています。

ネタニヤフ首相はパレスチナ自治政府のアッバス議長に、イスラエルを認めていないハマスとの統一政府を断念するよう強く迫ってきました。

遺体発見で更なる事態悪化が懸念されるなかで、自治政府のアッバス議長は30日夜、臨時幹部会を開催。米欧各国にも、イスラエルの報復を抑止するよう支援を求めたとのことです。

国連の潘基文(バンキムン)事務総長は6月30日、犯行は「平和の敵」によるもので、「イスラエルとパレスチナの分断と不信を深めることを狙った」との見方を示し、「それが奏功することがあってはならない」と声明で訴えています。

パレスチナ人少年拉致殺害 報復攻撃の疑い
しかし、イスラエル側はガザ地区空爆を強化しています。

****ガザ空爆強化を警告=誘拐事件、葬儀に数万人―イスラエル首相****
ヨルダン川西岸で誘拐された10代のイスラエル人3人の遺体が見つかった事件で、ネタニヤフ首相は1日夜、閣議で、事件の背後にいるとみているイスラム原理主義組織ハマスに対し「必要に応じて軍事行動を拡大する」と警告、空爆強化の可能性を示唆した。

イスラエル軍は1日未明、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区からのロケット弾攻撃の報復としてガザの34カ所を空爆した。さらに応酬が激化する恐れがある。

中部モディーンの墓地ではこの日午後、3人の葬儀が行われ、首相もペレス大統領と共に数万人の参列者に加わった。

首相は事件に関し「私たちには三つの使命がある」と強調。犯人逮捕、西岸でのハマス弱体化、ガザへの軍事行動を挙げている。夜には、治安閣議を招集し、ハマスへの対応を協議した。【7月2日 時事】 
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また、“エルサレム市内では1日、イスラエル人がデモ行進を行い、「アラブ人に死を」と呼びかけるなど、パレスチナ人に対する憎悪が一部で噴き出しています。”【7月2日 NHK】という状況で、7月2日未明には、イスラエルが実効支配する東エルサレム、パレスチナ人の少年が何者かに拉致・殺害されました。

イスラエル人3名の殺害に対する報復とも見られています。

****パレスチナ少年が拉致・殺害される、イスラエル3少年の報復か****
イスラエルが実効支配する東エルサレムで2日未明、パレスチナ人の少年が何者かに拉致・殺害された。先月のイスラエルの3少年殺害への報復の疑いがある。軍ラジオが報じた。

軍ラジオによると、16歳前後とみられる少年は東エルサレムで車に押し込まれ、数時間後に西エルサレムの森で遺体で発見された。「報復攻撃の疑い」があるという。

軍ラジオの伝えた目撃者情報によると、黒色の車両がヒッチハイクをしていた少年の脇に停車し、少年が車に押し込まれたという。その後、家族が少年の行方が分からなくなったと届け出ていた。(後略)【7月2日 AFP】
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「憎しみの連鎖」としか言い様のない事態です。

イスラエル・パレスチナ双方に冷静な対応が求められますが、特に、軍事的に圧倒的に優位にあるイスラエルは、怒りと憎悪にゆがんだ己の顔の醜悪さを報復殺人の悲劇から感じてもらいたいところです。
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