孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

地球温暖化対策を呼び掛ける16歳少女の訴え、欧州各地に拡大 世界で広がるプラごみ対策

2019-02-23 22:43:48 | 環境

(去年8月から毎週金曜日に学校を休んで首都ストックホルムの議会の前で座り込み、地球温暖化対策を呼びかける活動を1人で始めたスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん16歳【2月22日 NHK】
ボードに書かれているのは、google翻訳にかけると「気候のための学校ストライキ」といった内容のようです)

【「政治家たちはこの数十年間を何もせずにむだにしてきた」】
長い時間をかけて変化する地球温暖化の話は、正直なところ私のような老い先短い者にとっては、あまり切実な影響は感じない“他人事”でもあります。

その意味では、今後数十年地球上で暮らす子供たち・若い人にとっての方がより切実な問題でもあり、大人たちのいい加減な対応に抗議の声をあげるというのも、もっともなことです。

****“未来のための金曜日”16歳少女がEUの会議で温暖化対策訴え****
スウェーデンの16歳の少女が、毎週金曜日に学校を休んで地球温暖化対策を呼びかける活動を始めたのをきっかけに世界各地に活動の輪が広がっています。

その少女が、21日、EU=ヨーロッパ連合の会議で演説し、「温暖化の問題を解決するまで活動をやめない」と決意を語りました。

スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん16歳は、去年8月から毎週金曜日に学校を休んで首都ストックホルムの議会の前で座り込み、地球温暖化対策を呼びかける活動を1人で始めました。

この活動は、「未来のための金曜日」と呼ばれ、世界各地に広がっていて、トゥーンベリさんは、21日、ベルギーのブリュッセルで開かれたEUの会議で演説しました。

この中でトゥーンベリさんは、「私たちは、今、起きている気候変動に注目すべきだ。そうしないと、これまでに築き上げてきたものが台なしになってしまう」と述べ、温暖化対策の必要性を訴えました。

さらに、「『大切な勉強の時間をむだにしている』と言われるかもしれないが、政治家たちはこの数十年間を何もせずにむだにしてきた。私たちは、温暖化の問題を解決するまで活動をやめない」と決意を語りました。

これに対し、EUのユンケル委員長は、「若い人たちが行動を起こし、政治家に課題を投げかけたことを歓迎する」と述べ、対策に取り組む考えを示しました。【2月22日 NHK】
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チコちゃんなら「ボーっと生きてんじゃねーよ!」といったところでしょうか。
上記記事にもあるように、グレタ・トゥーンベリさん16歳の訴えは、欧州各地に波及しています。

****英で児童・生徒数千人が気候変動デモ 学校は授業欠席容認****
英国各地で15日、数千人の児童や生徒が気候変動への対策を求めるデモを行い、ロンドン中心部の議会議事堂前にある広場「パーラメントスクエア」での集会には数百人が参加した。子どもたちの多くが、学校側は授業を休んで抗議に参加することに理解を示したと述べている。

抗議にはあらゆる年齢層の児童・生徒が参加し、「地球を救え」と声を上げた。広場では発煙筒がたかれて参加者から喝采が起こる場面が見られたほか、議事堂から目と鼻の先にある像によじ登って対策を訴え、問題への認識向上を呼び掛ける生徒らもいた。

今回のデモは「気候のための青少年ストライキ」と銘打って実施されたもので、ベルギー、フランス、ドイツ、スウェーデンでも行われた欧州規模のボイコット活動の一環。

ブリュッセルなどベルギーの各都市では、若者らが約6週にわたり毎週木曜日に抗議行動を実施。14日にブリュッセルで行われた抗議には約1万1000人が集まった。また、各地の抗議主催者によれば、15日には仏パリ、独ポツダム、ミュンヘンなど欧州の諸都市で街頭デモが行われた。

一連の運動は、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんが昨年、ストックホルムの議会前で一人で続けた抗議行動から広まった。 【2月16日 AFP】
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****ベルギーで高校生1万人がデモ 温暖化で行動要求****
ベルギーで21日、地球温暖化対策での政治家ら大人の行動は怠慢だとして抗議する高校生らのデモが、首都ブリュッセルなど各地で行われた。

教室を飛び出した1万人超の若者が「私たちは気候変動で正義を求める」「今すぐ行動を」などと訴えた。(後略)【2月22日 共同】
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****温暖化阻止訴える少女 パリのデモ参加「子どもたちは抗議を」*****
毎週金曜日に学校を休んで地球温暖化対策を呼びかける活動を始めたスウェーデンの少女が、フランスで行われたデモに参加し、来月15日に世界各地で予定されている抗議活動に参加するよう呼びかけました。

北欧スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん(16)は、去年8月、学校を休んで首都ストックホルムの議会の前で座り込み、地球温暖化対策を呼びかける活動を始めました。

その様子をSNSで発信すると世界中の若者の共感を呼び、ツイッターのフォロワーが20万人を超え、同じような活動がヨーロッパなど世界中に広がっています。

こうした中、トゥーンベリさんは22日、フランスの首都パリで行われたデモに参加し、およそ1000人の若者たちとともに「連帯して温暖化対策を進めよう」などと訴えました。

来月15日には、フランスやアメリカ、日本など世界各地でデモが行われる予定で、トゥーンベリさんは、このデモをこれまで温暖化対策に取り組んでこなかった政治家など、大人たちへの抗議活動と位置づけ、「地球温暖化対策を呼びかけるストライキに、たくさんの子どもたちに参加してほしい」と呼びかけました。

学校の昼休みを利用して参加した16歳の少年は、「大勢で集まって声を上げれば、政府だって動かすことができると思う」と話していました。【2月23日 NHK】
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フランスなどでは、以前から高校生ぐらいの若者の政治参加が一般的で、ときには社会を動かすような力を発揮してきました。

18歳で投票権を与えられても「政治のことはよくわからないから・・・」と当事者がしり込みするような日本では、高校生が授業を休んで政治的とも思われるような行動に参加する、それを学校・社会が容認するということは到底想像もできないことです。

日本では、“未熟な”子供は“余計なことは考えず”学校の勉強に専念していればいい・・・といったところでしょう。

そのあたりが、社会における子供や若者の位置づけ、本人たちの自覚の違いでもあり、経済的にも一定水準に達し、同じような民主主義的価値観を共有するとは言いながらも、“社会の懐の深さ”の違いでしょうか。

【プラごみ対策に腰を上げる日本】
環境問題関連では、温暖化のほかに最近よく話題になるのが、深刻な大気汚染とプラスチックごみ問題です。
その後者のプラスチックごみ問題に関する最近の記事をいくつか。

日本を訪れた中国人観光客が、日本の街はきれいだと感嘆し、分別ごみ収集の徹底ぶりに驚く・・・といった類の話はよく聞きますが、プラスチックごみ関しては、最後の処理を中国に持ち込むことで(経済取引ですので、“押し付ける”とはまでは言いませんが)日本の“きれいさ”は成立していました。

その中国が資源ごみ受け入れを禁止したことで、日本はプラスチックごみの持って行き場がなくなり困っているのが実情です。

*****プラごみ輸出、18年3割減 中国が規制、行き場失う****
日本が2018年に輸出したプラスチックごみの量が、17年と比べ3割減ったことが地球環境戦略研究機関(IGES)の分析で21日、分かった。

再生材の原料としての需要が高く、最大の輸出先となっていた中国が、環境汚染を懸念して輸入を厳しく制限したことが影響した。代わりに東南アジア向けが増えたが規制を強める動きがあり、受け入れの大幅拡大は難しい状況だ。
 
行き場を失ったプラスチックごみは日本国内にあふれており、分析した森田宜典・IGES客員研究員は「製品に再生材の使用を義務付けるなど国内対策を一層進めるべきだ」と指摘する。【2月21日 共同】
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上記のような状況、また、世界で広がるプラスチックごみ対策の流れといった現状もあって、日本もプラごみ対策に本腰を入れるようです。

****レジ袋有料化を義務付け プラごみ25%削減決定****
中央環境審議会は22日の小委員会で、ペットボトルなど使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減する環境省の「プラスチック資源循環戦略案」を決定した。小売店へのレジ袋有料化の義務付けも盛り込んだ。ただ排出削減の比較対象となる基準年は、産業界の異論などに配慮して明示しなかった。
 
原田義昭環境相への答申を経て、政府の「循環戦略」に格上げする。深刻な海洋汚染を招くプラごみ問題は世界的な関心が高まっており、6月に大阪で開催する20カ国・地域(G20)首脳会合へ向けて、日本政府の姿勢をアピールする。
 
レジ袋は早ければ20年にも有料化する。【2月22日 共同】
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“25%削減”と言いながら、比較対象となる基準年は明示しないというのも、実にいい加減というか奇妙な話です。会社内でこんな起案文書を見たら「お前、馬鹿じゃないか!」という話にもなるのですが・・・。

【「地上の楽園」バリ島の海を覆うプラごみ】
個人的なことを言えば、現在仕事でレジ袋を使用しています。使う側からすればレジ袋は“渡すべきものを間違いなく相手に渡す”ための有効な手段でもあり、この使用が制約されると困った場面も想定されます。

ただ、東南アジアやインドなどを旅行すると、空き地・道路わき・海岸をプラごみが覆いつくしているような光景も珍しくなく、特にゴミ回収がうまく機能していない国では使用制限が急務であることは理解できます。

昨年11月に観光したインドネシア・バリ島の海洋汚染も深刻です。

****(地球異変)プラごみ漂う「地上の楽園」 インドネシア・バリ島****
「地上の楽園」とも言われるインドネシア・バリ島の海が、プラスチックに侵されている。マンタが見られる透明度の高いダイビングスポットに、大量のプラスチックごみが浮かんでいた。

飲料ケースに隠れるように小魚が泳いでいる。漂うポリ袋はクラゲのようだ。雨期に、陸地から大量に流れ込むという。
 
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で示された報告書によると、世界で年800万トン以上のプラスチックごみが海に流れ出ているという。海の生態系への影響が懸念される。

細かく砕けた粒「マイクロプラスチック」は、食物連鎖で人間を含む多くの動物に悪影響を及ぼす恐れがある。海洋プラスチック汚染は地球規模の脅威だ。【2月17日 朝日】
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背景には、ゴミ回収システムが十分に機能していないことがあります。

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プラスチックごみが海にどっと浮かぶのは、毎年、12月中旬~2月。雨期にあたり、大雨で陸地から押し流されてくる。インドネシア政府は「海洋ごみの80%が陸地からの流入」とする。(中略)
 
ペニダ島では、断崖から見下ろすビーチなどがインスタ映えするとして観光客が急増。ホテルやレストランの建設ラッシュに沸き、ダイビング店だけでも1年半の間に5店舗から11店舗に増えた。
 
ごみが増える一方、「ごみ処理の習慣もシステムも不十分」と、島で1年以上前から清掃の市民活動を率いるキリル・ポポブさん(34)は訴える。

地元政府によれば、大半の住民がごみを燃やすか埋めるか、ポイ捨てしている。収集車が走るのはごく一部で、月額3千~1万5千ルピア(23~117円)の回収料を払う家もわずか。最終処分場は、ただ山積みにしているだけだ。
 
インドネシア政府は、海洋ごみを25年までに70%削減する目標を掲げ、プラスチック製品への課税も検討している。ただ、プラスチック業界の反発もあり、ルフット海事調整相は「目標達成は可能だが、そう簡単ではない」と話す。(中略)

米・ジョージア大などの推計によると、プラスチックごみを海に流出させている上位20カ国中、半数以上がアジアの国々だ。中国が年最大353万トンで最も多く、最大129万トンのインドネシアが続く。日本は5・7万トンで30番目だ。
 
日本の約4倍の24万トンが流出しているとみられるインド。人口が過密している都市部ではごみの処理が追いついていない。

人口が2千万人を超えるインド・ニューデリーのごみ処理場では、ポリ袋などを多く含むごみが高さ40メートルほどに積み上がっていた。こうしたごみの山がいくつもある。雨の日にはごみが崩れると近くの川に大量に流れ込み、海へと運ばれていく。(後略)【同上】
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海洋に流失したプラごみは紫外線などで劣化し、細かく砕けた主に5ミリ以下の粒「マイクロプラスチック」となります。「マイクロプラスチック」は有害な化学物質を吸着しやすく、生きものの体内に入ったときの影響が心配されていますが、魚・貝を介して濃縮されて人へも取り込まれます。

上記のインドネシアでは、プラごみ回収の取り組みも行われてはいるようです。

****プラスチックの山が広がる海岸、30トンのごみ回収 インドネシア・スマトラ島****
インドネシア・スマトラ島の南端に位置するランプン州で21日、大量のごみで荒れ果てた海岸の清掃が行われた。インドネシアでは全国的に膨大な量の海洋ごみが問題となっており、ランプン州の海岸では2010年から毎年清掃活動が実施されている。
 
海辺に集まった子ども、軍関係者、地元住民ら約200人が、プラスチックのごみの山の上を苦労して歩きながら、ビーチサンダルなどのごみを拾った。3時間の清掃で拾ったごみの量は30トンにも上った。
 
ランプン州で清掃活動が始まったのは、地元漁師の網に大量のごみがかかるようになったのがきっかけだった。ごみの大部分は州都であるバンダルランプンから流れてきたものだという。
 
約1万7000の島々から成るインドネシアは、2025年までに海洋プラスチックごみを70%削減する目標を掲げている。 【2月22日 AFP】AFPBB News
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【世界で広がるプラ製品禁止の動き】
しかし、“広大な海に漂うマイクロプラスチックの回収は不可能に近い。近年、海洋汚染がクローズアップされ、脱「使い捨てプラスチック」が世界の潮流だ。世界的な企業が相次いで使い捨てプラ製ストローなどの廃止を表明したり、国レベルで使い捨てプラ製品禁止の動きが始まったりしている。”【2月17日 朝日】とも。

昨日も、そうした取り組みのひとつが報じられています。

****南太平洋の島国バヌアツ、プラごみ削減で使い捨ておむつ禁止へ****
南太平洋の島国バヌアツが、使い捨ておむつを禁止すると発表した。環境汚染の大幅な改善を目指す取り組みの一環だという。
 
ラルフ・レゲンバヌ外相は今週、首都ポートビラで開かれた会議で、使い捨ておむつのほかプラスチック製のスプーンやフォーク、マドラー、ポリスチレン製のコップ、複数の食品包装についても使用を禁止する方針を表明した。12月1日の施行を目指している。
 
レゲンバヌ氏は、ポートビラで出る家庭ごみの中で最も量の多い品目は使い捨ておむつだということが研究で分かったと指摘。「この品目を排除するだけで、プラごみを一気に削減できる」とツイッターに投稿した。
 
バヌアツは気候変動で深刻な影響を受ける太平洋諸国の一つで、環境保護の取り組みでは世界をリードする立場を自負している。昨年には世界で初めてプラスチック製レジ袋の全面禁止に踏み切った。
 
米シンクタンク「ワールドウオッチ研究所」は2007年、世界では年間4500億枚の使い捨ておむつが消費されているとの推計を出している。 【2月22日 AFP】AFPBB News
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使い捨ておむつを大量に使用されている方の自宅わきに、“おむつの山”が出来ているという悲惨な光景を目にしたこともありますので、問題であることは確かです。

ただ、禁止して代わりに・・・・どうするのでしょうか?

コメント
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