(バンコク中心部にある観光名所のエラワン廟(びょう)。新型コロナウイルスの感染が広がる前は、観光客でごった返していた=2020年1月1日
新型コロナウイルスの感染が広がった後、参拝者が激減した=2020年3月18日【3月19日 朝日】)
【タイ 軍を投入して消毒作業】
12日からのタイ観光を終えて、18日深夜のノックスクートで19日に関空に帰ってきました。
フライトが中止されることもなく帰国できて一安心。
タイでは、18日から全国の学校とバンコク首都圏の娯楽施設が14日間閉鎖されることになったこと、観光客が集まる寺院もクローズして消毒作業を行っていることは昨日ブログでも取り上げたところです。
18日の夜、外国人(ほとんどが欧米系)で賑わうカオサンに出かけてみましたが、マッサージの呼び込みがなくなったこと以外は、前日とあまり変わらないようにも。(あまり人ごみのなかに入りたくなくて、入口付近しか観ていないので、奥の方はわかりません)
テレビ撮影のクルーもやってきていました。
寺院の消毒は、17日の1日で終わったところも多いようで、18日に訪れた2カ所は平常通りの観光ができました。
ただ、対政府は軍も動員して街全体の消毒作業に乗り出したようです。
(プラユット首相のもとで、政府と軍は一体ですから、こういうとき軍を動員するのは容易でしょう)
****タイ首都 軍を投入し大規模消毒 コロナ****
タイの首都バンコクで、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、軍を投入しての大規模な消毒作業が行われた。
19日未明、首都バンコクでは、防護服を着てタンクを背負ったタイ陸軍の化学部隊の隊員ら約1000人が出動し、消毒作業にあたった。人が大勢集まる商業施設や駅、教育機関などの周辺道路を中心に消毒していく。交通渋滞を引き起こさないよう、未明から早朝にかけての作業となったが、今月末まで毎日行うという。
消毒作業責任者「この地区の住民や旅行者のためウイルスを消滅させる努力をする」
市民「何もしないでいるより、はるかに良いと思う」
タイではこれまでに212人の感染が確認され、1人が死亡している。【3月19日 日テレNEWS24】
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やはり、外国人入国規制も強化されています。
****21日以降、タイ渡航時に非コロナ感染証明・10万ドル以上の保険付保が必須に****
タイ運輸省傘下のタイ民間航空公社は3月18日、新型コロナウイルスの脅威が拡大しているとし、従来の感染危険国(中国、香港、マカオ、韓国、イタリア、イラン)に加え、日本の特定都市を含む感染拡大国に指定した11カ国(注)についても新たに入国時のガイドラインを発出した。
21日のタイ時間午前0時(日本時間午前2時)から有効となる。ガイドラインのポイントは以下の通り。
チェックイン時の必要書類
新型コロナウイルスの感染リスクがないことを証明する健康証明書。
当該健康証明書は、渡航日の72時間以内に作成される必要がある。
旅行保険:新型コロナウイルスを含む疾病治療費の付保が10万ドル以上でなければならない。
かかる2種類の書類が空港チェックイン時に提示できなかった場合は、航空会社は航空券を発券してはならず、また搭乗を許可してはならない。(中略)
発券後の手続き
(注)日本(北海道、東京、神奈川、千葉、大阪、愛知、京都、和歌山、沖縄)、フランス、スペイン、米国、スイス、ノルウェー、デンマーク、オランダ、スウェーデン、英国、ドイツ【3月19日 JETRO】
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【基幹産業の観光業打撃で市民生活に困難も】
観光が基幹産業でもタイですので、タイ政府は「タイは旅行の禁止、タイ国内の特定の都市および国自体の閉鎖は行わない。」とはしていますが、感染リスクがないことを証明する健康証明書云々ということになれば、すでに半減している外国人入国者は更に大きく減少するでしょう。
経済的には市民生活を直撃することにも。
そうした感染拡大、入国規制等の対応策、観光業への打撃は、タイに限らず、東南アジアに共通しています。
****「収入ゼロ…」強まる懸念 コロナ、東南アジアで急拡大****
新型コロナウイルスの感染が、東南アジアや南アジアで急拡大している。中国や韓国、欧州での大流行が波及する恐れが強まっており、アジア各国は外国との往来を厳しく制限し始めた。多くの日本企業が進出する地域で、経済への影響が特に懸念されている。
「事態は急速に動いている」。世界保健機関(WHO)東南アジア地域事務所は17日の声明で、東南アジアやインドで緊急の感染防止策が必要だと警告。複数の国で、イタリアなどのような大規模感染が起きる兆候があると指摘した。
同地域での感染者数は、中国で急増した1月から2月にかけては諸外国と比べて目立っていなかった。だが3月に急増。
WHOによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドの計11カ国で、17日時点で1574人。14日から17日の3日間で倍増したこともあり、各国は厳しい入国制限を取り始めた。
感染急増の背景には、当初は検査態勢が整っていなかったことや、感染者が少なかったことで当局が強い対策を取ることにつながらなかったことなどがあると指摘されている。
15日から16日にかけて感染者が倍増して553人になったマレーシアは、16日に政府が18~31日の間の外国人入国禁止を発表。それまでは中国からの渡航者を受け入れていた。18日時点での感染者数は790人に達した。
インドネシアも、16日から17日にかけて感染者が約1・5倍の172人に増えた結果、政府が17日、日本人などに認めてきたビザ免除や空港での到着ビザ発給を20日から1カ月間やめると発表。
ただし、事前にビザを申請して取得すれば入国できる。感染者が19人だった10日の時点で、WHOから「国家非常事態宣言も視野に準備を」とせかされ、国内には対応の甘さを批判する声もある。
旅行会社「収入、ゼロに近い」
新型コロナウイルスの感染拡大は、東南アジアの主力産業の一つである観光にも打撃を与えている。
観光業が国内総生産(GDP)の約2割を占めるタイでは、2月の外国人訪問者数が242万人と前年より約4割減った。中国人でにぎわうはずだった春節(旧正月)が空振りに終わり、欧米人にも人気の4月のソンクラーン(タイ正月)の連休は延期された。バンコクの旅行業者は「日本からのツアー申し込みも例年の半分程度しかない」と嘆く。
インドネシアで人気の観光地バリ島では、観光客が例年より2割ほど減っている。「感染者ゼロ」だった1月まではむしろ増えていたが、中国便の停止で暗転。3月初めに国内初の感染が判明すると、さらに客足が遠のいた。バリ州の観光局長によれば2月は前年比で5万人減り、3月も10万人は減るとみる。地元報道によると、中国人客で成り立っていた飲食店などでは、従業員の雇い止めが起きている。
11年の民政移管の後、観光業のGDP比が2・6%(11年)から6・8%(18年)にまで上昇したミャンマー。国内の感染者はまだ確認されていないが、ホテル観光省によると、今年の観光客は前年比の半分ほどに落ち込むとみられているという。観光客の4分の1を占める中国人観光客が50~80%減るとみられるのが大きい。
ヤンゴンで旅行会社を営むティントゥンさん(30)は「今月に入って収入は去年の1割程度に減った。中国を中心に4月の予約はキャンセルが相次ぎ、収入はゼロに近くなってしまうのではないか」と力ない声で話した。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると東南アジア地域では2018年、観光業がGDPの12・6%を占め、世界平均の10・4%を上回る。影響は計り知れない。
操業停止に追い込まれる例も
在留邦人や日系企業への影響も大きい。約9千人の在留邦人がいるインドでは政府の厳しい入国制限が始まり、出張などで出国すると再入国できなくなる恐れがある。日系企業は不急の出張や帰国を控えるよう社員に指示している。
約1900社の日系企業が進出するインドネシア。空港での到着ビザで日本から出張者が来る企業が多いが、20日から到着ビザが停止に。機械メーカーの担当者は「プロジェクトが遅れる」と懸念する。(後略)
〈おもなアジア諸国の外国人に対する入国制限〉
●インド 4月15日まで入国ビザを無効化(就労ビザなどを除く)
●インドネシア 20日から1カ月間、ビザ免除措置と空港での到着ビザ発給を停止
●シンガポール 中国やイタリアなど感染の特に多い7カ国からは入国禁止。その他日本などからの渡航者は入国後2週間の外出禁止
●タイ 中国やイタリアなど感染が広がった国・地域からの渡航をビザ発給停止などによって制限。
●ベトナム 18日から30日間、ビザ発給を停止
●マレーシア 18日から31日まで、入国禁止。国民の出国も禁止 【3月19日 朝日】
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【「サイレント・エピデミック」の懸念】
感染が拡大し、対応を強化しているのは東南アジアだけでなく、欧州、アメリカ、中東、アフリカ・・・どこでも同じです。
*****新型コロナ、東南アジアで相次ぐ規制強化 1週間で感染者3倍以上、高まる危機感****
東南アジアで新型コロナウイルスの感染者数が急上昇する兆しが見えはじめ、各国が相次ぎ厳しい措置に動き出した。
これまで感染者数が比較的少なかったのは検査能力不足のためで、水面下で感染が広がっている可能性は指摘されていた。これを裏付けるような状況に危機感が高まっている。
「状況は急速に変化している。積極的な行動が必要だ」。世界保健機関(WHO)の東南アジア地域担当者は17日の声明で域内の現状を懸念し、大規模感染を防ぐ対策の必要性を強調した。
東南アジアでは1月中旬から感染者が確認された。増加ペースは比較的緩やかだったが、検知されないまま感染が広がる「サイレント・エピデミック」(静かな感染拡大)も懸念され、米ハーバード大研究チームは論文で一部の国を名指しし、検査体制の強化の必要性も指摘していた。
こうした中、3月中旬以降、感染者数が急増し、3月18日時点で東南アジア諸国連合(ASEAN)10加盟国の感染者数は1494人。1週間で3倍以上になった。マレーシアでは2月27日〜3月1日に約1万6千人が参加して行われたイスラム教の集会での感染が発覚。18日までに600人以上の感染が確認された。
感染者急増を受け、動きが鈍かった国々も対策を本格化させた。ASEAN内で最多の感染者を抱えるマレーシアは18日未明から31日まで、自国民の海外渡航と外国人の入国を禁止。事実上の国境封鎖で政府は延長の可能性も示唆する。
宗教行事を含む集会も禁じられた。ムヒディン首相は「さらに状況が悪化するまで待てない」と厳しい措置に理解を求めた。
フィリピンは首都マニラを抱えるルソン島の全住民に外出制限を実施。シンガポールは20日から全入国者に入国後14日間の外出制限を設ける。
ただ、対策にはASEAN内でも濃淡がある。インドネシアは経済面の影響を考慮し、ビザ発給に制限はかけつつも、厳格な出入国制限には踏み込んでいない。
ラオスとミャンマーでは感染者が確認されておらず、感染阻止対策への称賛より、検査体制の充実を求める声が上がる。
各国の結びつきが強いASEANでは、一国の措置の余波を他国が受けることもある。シンガポールでは隣国マレーシアの国境封鎖で、同国から国境を越えて日々働きにくる約30万人の労働者に支障が出る。
このためシンガポール政府はマレーシア人労働者を国内にとどめ置くため、雇用主の企業・団体にホテルなど滞在先の確保を要求。ASEANは内政不干渉が原則だが、感染防止対策で緊密な連携が求められる局面を迎えている。【3月19日 産経】
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検知されないまま感染が広がる「サイレント・エピデミック」(静かな感染拡大)・・・・検査が積極的に行われなければ感染者数は増えませんが、感染自体は拡大し続けます。
中国との関係も深いミャンマーやラオスで感染者ゼロというのは、信じがたいことです。
****コロナ、ミャンマーとラオス0? 感染者、公式発表に疑念****
世界の感染者が20万人を超えた新型コロナウイルスだが、中国と接するミャンマーとラオスでは、公式発表によると感染者は出ていない。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は17日の声明で、ミャンマーの人数に疑念を示し、政府を批判。英紙テレグラフは「東南アジアで静かに感染がまん延している懸念がある」と伝えた。
HRWのアジア局長代理、フィル・ロバートソン氏は声明で、ミャンマーは中国と2千キロ以上国境を接し、労働者が行き来しているが「感染者がいないと主張している」と指摘した。【3月19日 共同】
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インドからはとんでもない話も。
****新型コロナ対策パーティーで「牛の尿飲み」強要、与党党員を逮捕 インド****
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて民間療法への関心が高まるインドで、警察は17日、新型ウイルス対策として牛の尿を飲むパーティーを主催し、参加者に飲尿を強要したとして、与党インド人民党の党員を逮捕した。(中略)
同州フーグリー県の警察も同日、「新型コロナウイルスよけ」とうたい、牛の尿とふんを販売したとして、牛乳販売店を営むシェイク・マスド容疑者を逮捕した。同警察のフマヤン・カビル氏がAFPに明らかにした。
マスド容疑者は、牛の尿を1リットル当たり500ルピー(約720円)、牛のふんを1キロ当たり400ルピー(約580円)で販売していた。首都ニューデリーで牛の尿を飲むパーティーが開催されたと聞いて、牛の尿とふんを売ることを思い付いたという。
マスド容疑者の店には、「牛の尿を飲んでコロナウイルス撃退」と書かれたポスターが張られていたという。
13億人の人口を抱え、ヒンズー教徒が大多数を占めるインドでは、牛は聖なる動物で、その尿は関節炎からぜんそく、がん、糖尿病に至るまで万病に効く特効薬とみなされている。一方、牛の尿が万能薬であるという主張はいんちきだと否定する声もある。 【3月19日 AFP】
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このような状況ではインドの感染拡大も時間の問題のようにも思えます。