全国の新規感染者の推移
「グレーの折れ線グラフ」は、その日までの1週間の平均値を示しています。
全国の死者数の推移
(以上【8月8日 NHK】より)
【8月に入って新規感染者増加ペースが緩やかに】
最初に新型コロナに関する私個人のスタンスについて言えば、自粛と称する社会的同調圧力で旅行などの移動が制限される現状にはうんざりしており、「新型コロナなんて大したことないじゃない」といった主張・意見に共感する傾向があります。
以下で取り上げる話も、そういう楽観的期待に流れやすい個人的バイアスがかかったもの・・・という前提でお読みいただければと思います。
今日の東京の感染者は429人・・・毎日、夕方頃になると「劇的変化」を期待して注目しているのですが、なかなか減らないですね・・・。
****東京都 新型コロナ 新たに429人の感染確認 400人超は2日連続****
東京都は8日午後3時時点の速報値で、都内で新たに429人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
1日の感染の確認が400人を超えるのは2日連続です。
都によりますと、感染が確認されたのは10歳未満から90代までの男女合わせて429人です。
1日の感染の確認が400人を超えるのは2日連続です。また、200人を超えるのは12日連続です。
429人のうち、20代と30代は合わせて274人で、およそ64%を占めています。
一方、8日の時点で、重症の患者は、7日より2人増えて25人だということです。
これで都内で感染が確認された人は、1万5536人になります。
東京都は、都内の感染状況は非常に厳しく、最大限の警戒が必要だとして、ことしのお盆や夏休み期間は都外への旅行や帰省、夜間の会食、遠くへの外出を控えるよう呼びかけています。【8月8日 NHK】
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ただ、冒頭「個人的バイアス」「楽観的期待」のなせる業でしょうが、全国の新規感染者数の推移を直近1週間の移動平均みると、7月に「右肩上がり」で増加してきたものの、8月に入ると緩やかなペースに変化しているようにも見えます。
(何かを言うにはまだまだ早すぎる段階ですが)ひょっとして、そろそろ「天井を打った」のか?そうした変化をもたらす要因は、7月中の感染者増加を警戒した人々の行動変容がややタイムラグを伴って現れてきた・・・ということでしょうか。
「高止まり」と言うべきかもしれませんが、「止まった」ならそれはそれで結構。
もちろん、何回も繰り返しますが、こうした今後に関する見方はたぶんに「個人的バイアス」「楽観的期待」です。
明日からまた著しい増加に転じるのかもしれません。
ただ、8月に入ってからの増加ペースが今のところは緩やかになってきているというのは「事実」です。
報道の姿勢も、「今日もまた400人超え」「各地でこれまで最多を更新」といった不安を煽るだけではなく、こうした変化にも触れて人心を落ち着かせるようなものがあってもいいのでは・・・と思うのですが。
【死者数が4月・5月より明らかに少ないという「事実」 ウイルス弱毒化は「証拠がない」とは言うものの・・・】
私が一番注目しているのは、死者数の推移。
あちこちで取り上げられるようになっていますが、4月・5月頃に比べると、明らかに少ないという「事実」があります。
もちろん、これだけ多くの感染者がいれば、なかにはハイリスクの方もいますので、今後若干は死者数も増えていくでしょう。
ただ、明らかに4月・5月頃とは異なります。
この「事実」に関連して囁かれているのは、新型コロナが弱毒化したのではないか・・・という声。
これに関しては、7月20日ブログ“新型コロナは弱毒化したとの指摘も”でも、新型コロナウイルスが猛威を振るったイタリアで患者の治療に当たったサンマルティノ病院の感染症部門の医長マテオ・バセッティ教授の「どう猛な虎がヤマネコに変わった」との意見なども紹介しました。
弱毒化に関しては「そのような証拠はない」というのが一般的見解です。
****SNSで新型コロナウイルス弱毒化の声「科学的根拠ない」専門家****
新型コロナウイルスの感染が拡大する一方で、重症者の数が以前より少ないことから、SNSなどでウイルスが弱毒化したのではないかという声が上がっていることについて、専門家は「現時点では科学的な根拠はなく、これまでどおり感染対策に取り組んでほしい」と呼びかけています。
新型コロナウイルスの全国の一日当たりの新たな感染者数は、31日で3日連続1000人を超えるなど感染が拡大する一方で、重症者の数は増加傾向にはあるものの、30日の時点で全国で90人と、緊急事態宣言が出ていたピーク時の3分の1以下となっています。
こうした中、SNSなどではウイルスの毒性が弱くなったのではないかという声も上がっています。
これについて新型コロナウイルスの治療の中心的な役割を担う国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「海外の状況を見ても、ウイルスが弱毒化したという科学的な根拠は今のところない。また、実際に患者を診ていてもそうした実感はない」と指摘しました。
そして、忽那医師は「第1波の時は、重症者を見つけるために症状のある人を優先的に検査していたが、現在は検査数が増え、感染の実態が以前より詳細に分かるようになった。軽症や無症状の人が多く見つかるようになったため、重症になる人の割合が少なくなったように見えていると考えられる」と話しました。
そのうえで、現時点でウイルスの毒性が弱くなったと考えて対策の手を緩めてしまうのはリスクが高いとして、忽那医師は「重症者は感染者の増加に1~2週間遅れて増える特徴があるため、今後、重症者が増えるのではないかと強く懸念している。人工呼吸器の装着などの治療には多数のスタッフが必要で医療現場に大きな負荷がかかるため、可能なかぎり重症者は増えないほうがよい。この週末も外出を控えるなど一人一人が自覚を持って感染対策に取り組んでほしい」と話していました。【7月31日 NHK】
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【「常識的判断」に対する個人的違和感】
これが「常識的判断」というものでしょうが、忽那医師の見解には違和感も感じます。
ひとつは、「重症になる人の割合が少なくなったように見えている」とのことですが、「絶対数」として重傷者・死者が減少している「事実」を何ら説明していません。
もうひとつは、「重症者は感染者の増加に1~2週間遅れて増える」という「当然の事実」ですが、しかし、7月後半時点から「1~2週間遅れて」と言われ続けているものの、現時点でも死者数はそう大きくは増加していません。重傷者数は緩やかに増大しています。
死者数に関する限り、「専門家」と称する方々の「1~2週間遅れて」云々は、いささか「オオカミ少年」的な感があります。
リスクに関する判断は、最終的には「どのくらいの人が死ぬのか」という点でしょう。
死者数も7月初めに比べれば増えていますが、絶対数として「許容可能な範囲」ではないかと個人的には思っています。
極論すれば、「今ぐらいの死者数なら、通常のインフルエンザなどと比べても多くないレベルで、そんなに大騒ぎするものでもない」というようにも思っています。
もちろん極論です。仮に弱毒化だか何だかで死者数が減ったとしても、ハイリスクの者が危ないのはインフルエンザや通常の風邪と同じですから、介護施設など高齢者などを中心にした対策は必要です。
一番違和感を感じるのは、専門家の方々の意見が「科学的な根拠は今のところない」で終わってしまうことです。
一番重要なのは「どのくらいのリスクがあるのか?」という現状認識でしょう。
それを受けて、三密を避けるとか移動を控えるといった対策も、その「程度」が決まってきます。
その一番重要なリスク判断に関して、死者数が増えないという顕著な事実変化があるにもかかわらず、「科学的な根拠は今のところない。これまでどおり警戒を」では、何のための「専門家」なのか?という思いが。
もし、リスクが変化したということであれば、対策も高齢者等中心のものにシフトして、一般の社会生活に関しては規制を緩めるという考えもあり得ます。極論すれば「新規感染者1000人?2000人? それがどうした。死者10人? そんなものだろう。」って対応も。(何度も言うように極論です)
死者数が大きく増加しないことに関しては、ウイルスの弱毒化云々ではなく「医療現場のがんばり、コロナ患者への対処の経験値が向上している」ことがよく指摘されます。
それならそれで結構。そうした対応で死者数を一定範囲にコントロールできるレベルだということで、対策もそれに応じたものを・・・ということになります。
とにかく「一体どのくらいのリスクがあるのか?それって他の疾患と比べて異常なことなのか?」という認識からスタートしないと、いたずらに「何が今後起こるかわからないので、これまでどおり警戒を」だけでは、「いささかつきあいきれな」いというの個人的実感です。
「不要不急の・・・」とよく言われますが、個人にとってどれだけの意味のある行為なのかは他人にとやかく言われたくありません。
また、多くの事業者の生活は、そうした「不要不急」のサービスを提供することで成り立っており、個々人にとっては「不要不急」でも、サービス提供者にとっては死活問題です。
そうしたことから、いたずらに「これまでどおりの警戒を」と言われてもね・・・といったところです。
【6月以降のウイルスに関する遺伝子配列変異の報告も 最も重要な現状分析・リスク判断に注力を】
ウイルス弱毒化に話を戻すと
****コロナは「弱毒化」しているのか? 欧米でも死亡率低下 専門家「無症状多く、判別困難」****
(中略)新型コロナウイルスの「弱毒化」説の可能性はどれほどなのか。
「重症者が少ないという点から現時点で弱毒化しているという可能性は考えられる。ただ、明らかなウイルスの変異がみられず証拠がない」と語るのは、東北大学災害科学国際研究所教授の児玉栄一氏(災害感染症学)(後略)【8月6日 夕刊フジ】
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そのウイルスの変異については、「6月以降のウイルスはそれまでとは遺伝子配列が異なる」との国立感染症研究所の研究チームの指摘も。
****新タイプのウイルス、6月に突然出現…東京から感染拡大****
新しいタイプの遺伝子配列を持つ新型コロナウイルスが、6月以降全国に広がっているという分析結果を国立感染症研究所の研究チームが公表した。
東京から地方への移動によって感染が拡大したことが、ウイルスの遺伝子分析からも推定される結果となった。研究チームは、日本人が感染した新型コロナウイルスの遺伝子に着目。配列の変化と流行の関係を調べた。
その結果、3月からの感染拡大では、欧州系統の遺伝子配列を持つウイルスによるクラスター(感染集団)が全国各地で複数発生した。
5月下旬にいったん収束したものの、6月中旬、東京を中心に新たなタイプの遺伝子配列のウイルスが突然出現。現在、急速に増加している全国の陽性患者の多くが、新タイプに属することが分かった。【8月8日 読売】
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もちろんウイルスは遺伝子的に普段に変容しており、国立感染症研究所の研究チームの指摘する変容がウイルスのリスクとどの程度関連するものなのか、全く無関係なのかはわかりません。
ただ、国民が一番知りたいのは、また、今後の対策にとって一番重要なのは、まさにそのあたりの現状分析であり、「確かな証拠は今のところありません」で片づけずに、集中的に調査・研究して欲しいと思うのですが。
それでこその「専門家」でしょう。壊れたレコードのように「これまでどおり警戒を」と繰り返すだけなら「専門家」など必要ありません。