孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

欧州を襲う新型コロナ第2波 市民社会「幼児化」の指摘も

2020-11-05 23:35:44 | 欧州情勢

(【11月1日 YAHOO!ニュース】)

 

【欧州を襲う第2波 再び外出規制措置導入に】

全土で再び外出制限=経済活動は継続、独仏―コロナ猛威、欧州に再来【10月29日 時事】

英の新型コロナ死者、最悪シナリオで8万人超に=政府科学機関【10月31日 ロイター】

イタリアやスペインでコロナ新規感染が最多更新、死者は減少【10月31日 ロイター】

 

新型コロナ第2波の中心は再び欧州(そして第1波から高水準が続くアメリカ)となっています。

 

***新型コロナ感染、欧米で拍車 米は累計900万人超***
欧米で新型コロナウイルスの感染拡大に拍車がかかっている。米ジョンズ・ホプキンス大によると29日は米国やフランス、イタリアで7日移動平均ベースの新規感染者数が過去最多を更新。各国は外出制限などの感染防止策を講じるが、収束の道筋は見えない。(中略)

 

欧米経済、遠い正常化 コロナ感染で都市封鎖の連鎖

特に感染拡大が加速しているのが欧米だ。米国では7日移動平均での新規感染者数が29日に約7万7000人となり、23日連続で増加。感染の「第3波」のまっただ中にある。

 

米国の感染状況を分析する「COVIDトラッキング・プロジェクト」で州別の感染動向をみると中西部のミシガン州やオハイオ州など全米50州のうち30超の州で過去最多の感染者数となった。ペンシルベニア州やノースカロライナ州、ウィスコンシン州など、11月3日の大統領選における激戦州で感染が広がっている。(中略)

 

欧州ではフランスで7日移動平均でみた新規感染者数が29日に初めて4万人を超えた。イタリアが約2万2000人、スペインが約1万9000人とそれぞれ過去最多となった。英国も最多水準で推移する。

 

各国は対策を強化する。フランスは30日から、通勤、通院、食品購入などを除く外出を原則禁じた。正当な理由があって外出する場合、外出時間や目的などを書いた申告書を携帯する。コロナ患者による緊急用病床の利用率は60%超となり、仏メディアによると11月上旬に利用率が98%に達する見通し。医療崩壊を防ぐため、感染抑制が急務となっている。

 

スペインは当初は11月上旬までだった非常事態宣言を21年5月まで延長する。非常事態宣言は3~6月に続いて2回目で、夜間の外出を原則禁じる。首都マドリードでの移動制限などで対応しようとしたが感染が収束せず、非常事態宣言で政府に強い権限を持たせることが必要だと判断した。

 

米国でも中西部イリノイ州シカゴが30日から店内飲食を再び禁止した。秋から対面授業を再開してきた公立学校でも中止が相次いでいる。感染が急増している西部ユタ州ではソルトレーク郡の高校で再びオンライン授業に切り替え始めている。

 

欧米は11月下旬からクリスマス休暇や年末商戦の時期に入る。感染拡大に伴う消費や娯楽への悪影響は避けられそうにない。米国の7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で33.1%増と急回復したが、10~12月期以降の回復は鈍い見通しだ。

 

フランスでは外出制限による経済活動の落ち込みを15%減と見込む。3~5月の落ち込みよりは小さい見通しだが、景気回復途上からの再制限は厳しい。仏政府は打撃を受ける企業の支援に月150億ユーロ(約1兆8千億円)を充てる。イタリアでは各地で飲食店の営業制限などに反対するデモが起きるなど、市民の不満も高まっている。【10月31日 】

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欧州では、感染拡大が小康すると行動規制を大幅に緩めて経済回復を急ぎましたが、再び感染が拡大、経済も回復しない状況に。

やむなく規制を再開するも、国民には規制疲れの状況も。

 

****第2波、欧州の悪循環 経済優先→感染再拡大→経済疲弊 新型コロナ****

欧州各国で新型コロナウイルスの感染爆発の第2波が起きている。フランスなどでは1日の感染者数が春の流行時を大きく超えている。経済復興を優先し、行動規制を大幅に緩めてきたためだ。感染拡大を防ぎきれず、経済も回復しない悪循環に陥っている。

 

 ■仏9都市圏、夜間外出禁止

「我々は第2波の中にいる」

フランスのマクロン大統領は14日、初めて「第2波」と明言した。1日の感染者数は今月、過去最多の約2万7千人に達し、連日100人以上が亡くなっている。パリでは検査の陽性率が17%に達し、爆発的に感染が広がっている。専門家はパリ首都圏の集中治療病床は月末までにほぼ埋まると指摘している。

 

マクロン氏は「ウイルスは全土にある」と警告。17日からパリやマルセイユ、リヨンなど9の都市圏で夜間の外出を禁じる措置に踏み切った。違反すれば、135ユーロ(約1万7千円)の罰金を科す。

 

一方でマクロン氏は「経済活動を続け、学校を開き、全ての市民が通常通り働き続けられるようにする」と強調した。フランスは3月に課した外出禁止令を5月に緩和。7月には衛生緊急事態宣言を解除して経済の本格再開を目指したが、今月14日、3カ月ぶりの再宣言に追い込まれた。

 

感染の急増で欧州各国の政府は、避けてきた行動規制の再導入を余儀なくされている。英国ではハンコック保健相が15日、ロンドンなどでは同居する人以外と屋内で会うことを17日から禁止すると発表した。スペインオランダベルギーでもレストランやバーなどを閉鎖する措置が相次いでいる。

 

欧州連合(EU)が掲げる域内での自由な移動も、コロナ禍で大きく制約されている。入国を制限したり、自主隔離を義務づけたりする判断基準は各国でばらばらで、「パッチワーク」(フォンデアライエン欧州委員長)の状況だ。

 

EUは、共通のルールを作り、「安全性が高い国」からの旅行者は自由な往来を認めるように働きかけている。ただ、第2波の影響で移動の自由の回復はなお遠く、各国で足並みがそろうかは見通せない。

 

域外からの入国についても同様だ。EUは入域を認める国の共通リストをつくり、7月から受け入れを進めてきた。日本もリストに含まれているものの、今も入国を原則として禁じる国が残る。第2波で今後、規制が強まる可能性がある。

 

 ■巨額の政府支出、ためらい

(中略)欧州各国の政府は、感染対策と経済再生の間で揺れている。春の第1波に対して行った「ロックダウン」でいったんは感染を抑えたが、この間に凍った経済の傷は深かった。国際通貨基金(IMF)が13日発表した2020年の経済成長率の見通しは、スペインの12・8%減を筆頭に、英仏伊が10%前後のマイナス。ドイツも6%減に沈む。日本(5・3%減)や米国(4・3%減)よりも悪い状況だ。

 

経済回復を図ろうと、欧州各国は夏場に国境を開き、特に「観光」の復活に力を入れた。飲食業や交通、宿泊など恩恵を受ける裾野が広いためだが、人の移動の促進は、感染拡大を容赦なく招いた。

 

第1波の際には巨額の政府支出で経済の底割れを防いだ政府も、第2波で同じような支出に躊躇(ちゅうちょ)する。IMFによると、ユーロ圏の20年の政府債務残高は域内総生産(GDP)比で101・1%で前年から17・1ポイントも増える。

 

ドイツメルケル首相は14日、約8時間にわたる感染対策会議の後の会見で、すでに経済対策として2500億ユーロ(約30兆円)以上の巨額の新規債務を抱えることを指摘。第2波が春と同じ状況となれば「経済的にも対処する余裕がない」と語った。「感染者数を抑え込むため、できることは全てしなければならない」と危機感を表した。

 

 ■失業・貧困、深刻化

長引くコロナ禍は多くの失業者を生みつつある。

 

パリでは14日午後、慈善団体「心のレストラン」が卵やスープ、チーズやピーマンなどの食料を無料で配る拠点に、子連れの親子ら数十メートルの列ができた。

 

その一人、ブライム・タシュフィヌさん(21)は6月に仕事を失った。勤務先はパリのディズニーランドそばのディズニーホテル。観光客が減り、上司から「もう仕事がない」と告げられた。8カ月間の雇用期間は延長されず、月給1100ユーロ(13万6千円)を失った。仕事は見つからないままだ。(中略)

 

フランスでは月収1063ユーロ以下という貧困ラインを下回る人は人口の約14%の930万人。仏メディアは、援助団体の推計として、年末までにさらに100万人が貧困層に加わると伝えた。EU27カ国の失業率もコロナ禍で上昇し、8月は7・4%で前年同月比0・8ポイント悪化した。【10月16日 朝日】

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【各国にはそれぞれの事情 イギリスの場合は近年の医療サービス縮小が裏目に】

当然ながら、「欧州」とはいっても国ごとに事情は異なります。

例えば、イギリスの場合、他の欧州各国とと比較して、死者が多い傾向がありますが、これは保守政権の下での医療サービス縮小が影響しているとか。

 

****英国で外出制限開始 コロナ第2波、医療現場「対応限界」の声****

英政府は5日、新型コロナウイルス流行の「第2波」を受け、首都ロンドンのあるイングランド地方で外出制限を再び開始した。期間は12月2日まで。新型コロナの死者数が欧州最多となる中、逼迫する医療現場の負担を軽減する考えだが、大幅な状況改善につながるかは不透明だ。(中略)

 

英国は前回の外出制限の影響で4〜6月期の国内総生産(GDP)が過去最悪の落ち込みになった。飲食店などサービス業が主力産業のロンドンでは、再度の外出制限でさらなる景気悪化を懸念する声が広がる。

 

ジョンソン英政権がそれにもかかわらず、再実施に踏み切ったのは、新型コロナ感染による死者の増加を抑えるためだ。

 

米ジョンズ・ホプキンズ大の統計によると、英国の累計感染者数は今月5日時点で約110万人で、欧州諸国ではフランスやスペインよりは少ない。しかし、死者数は約4万8千人に上り、フランス(約3万8千人)やスペイン(約3万8千人)を含めた他の欧州諸国よりも多い。

 

ジョンソン首相は「(外出制限を再実施しなければ)1日数千人の死者が出るかもしれない」と危機感を強めている。

 

死者数が多い背景には、与党・保守党政権が近年とった緊縮財政に伴う公的支出の抑制により、医療サービスが低下している状態がある。

 

欧州連合(EU)統計局が8月に発表したデータによると、英国の10万人当たり利用可能な医療用ベッドは249・5床で、フランス(590・9床)など欧州主要国の中で最も少なかった。英国は医師も不足している。

 

感染者数の増加で医療機関の対応に限界も指摘されている。英メディアによると、10月中旬時点でイングランド北部リバプールの集中医療室のベッドの約95%が新型コロナなどの患者で埋まり、現地の医療関係者は、通常の医療サービスを行いながら新型コロナにも対応するのは「不可能」とメディアに語った。外出制限を再導入しなければ、12月中にイングランドの医療用ベッドが満床になるとの分析もある。

 

ただ外出制限が再び導入されても、新規感染者数が大幅に減少する保証はない。市民は生活必需品の購入や運動などを除いて外出を控えるよう求められているが、ロンドン中心部に住む会社員、ウィリアム・ハーベイさん(30)は「2度目の制限を我慢できる国民がどれだけいるか…」と首をかしげた。

 

ロンドン市内の女性看護師(29)は「制限に違反する人が増えることも予想される。約1カ月で(感染拡大が抑制されるような)結果が出るとは思えない」と打ち明けた。ゴーブ内閣府担当相も、感染状況によっては12月3日以降も制限を続ける可能性があるとの認識を示している。【11月5日 産経】

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【欧州市民社会の「幼児化」の指摘も】

第1波でも欧米と日本を含めた東アジアの差が問題になりましたが、このところは比較的コントロールできている東アジアに対し、第2波で患者数が急増する欧州と、その差が更に顕著になっています。

 

****欧州がかくもコロナに脆い理由 市民社会の「幼児化」が背景****

(中略)日本と似たような規模の国家群で見ると、直近二週間でフランス三十五万人超、英国二十五万人超。連日、各国で一万~四万入超の新規感染者が出ている。西欧諸国が、特大の「第二波」に襲われていることが分かる。

 

地方自治体が対策をボイコット

ところが、感染対策となると、驚くようなことが起きている。

 

各国の中央政府が「感染の著しい地域に、限定的な外出制限を導入する」との方針を決めると、当該地方政府の首長と議会が「なぜ我々だけが?」と猛反発して、感染対策がストップしてしまうのだ。

 

英国のクレーター・マンチェスターが好例だ。

 

ここは、マンチェスターを中心に約二百八十万人加住む、英国屈指の行政区である。十月上旬、ポリスこンヨンソン英首相が「マンチェスターで感染者が急増している。地域限定の外出・営業規制を導入する」と発表した。

 

ところが即座にクレーター・マンチェスターのアンディー・バーナム市長が、「何で我々だけが規制されるのか」と異論を唱え、制限導入を拒否した。市長は労働党で、元来「反ジョンソン政権」の立場だが、地元選出の保守党下院議員たちも一斉に、市長に同調した。

 

国が決めた規制措置を、地方自治体がボイコットするという、異常争態が起こった。

 

マンチェスター側か求めたのはカネだ。「地域限定の封鎖をするなら、国庫から補償金(支援金)を出社」というのだ。

 

ジョンソン首相は衆人環視の中、マンチェスター側と支後金の競りを行うハメに陥ってしまった。競りが「六千五亘カポンド(約八十九億円)討入千万ポンド(約八十二億円)」になったところで、首相の我慢が限界に達し、一方的に「規制導入」を宣言。発表から十日もたっていた。

 

この間、クレーター・マンチェスターでは連日、一万~二万人台の新規感染者が出ていた。各方面から「何とバカなことを」と政府、自治体批判が沸き起こった。

 

英政府と地方政府の対立は、第一波の際に決めた三段階基準に原因がある。「最も危険」な第三段階では、政府が商店閉鎖の補償金を出してロックダウン(都市封鎖)を導入する。ジョンソン首相は補償金を払いたくないので、地域限定の第二段階指定を乱発したのだが、自治体から「規制したいならカネを払え」と居直られた。

 

この構図は他の西欧各国でも同じだ。

感染者累計が十月に百万人を超えたスペインでは、ベドロ・サンチェス首相(社会労働党)が、首都マドリード、カタルーニャ州など複数の地方政府から、抵抗を受けることになった。

 

中でも、野党が政権を握る自治体は、サンチェス首相と正面衝突する。(中略)

 

スペインは第一波でさんざん苦しんだのに、夏が来ると「スベインに来て」と大々的な観光キャンペーンを展開した。これが主因になり第二波が襲来したわけだが、政治家と観光業界はいまだに「感染対策優先」に踏み切れない。

 

イタリア、フランス、ドイツなどでは規制反封派は、すぐに街頭に繰り出す。「独裁打倒」「専制主義反対」を叫ぶのだ。イタリアのナポリでは十月下句、コロナ禍拡大の中で、デモ隊と警官隊の激しい衝突が起こった。(後略)【「選択」 11月号】

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規制の必要性については、いろいろな考えもあるところですから、規制反対の主張・抗議行動自体が間違いとは思いません。

 

ただ、国と地方公共団体のカネをめぐる足並みの乱れから不必要に時間をロスするのは問題でしょう。

 

上記【選択】が指摘する市民の側の問題は、下記記事のような行動。

 

****イギリス 外出制限前夜 街には多くの人が...****

新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しているイギリスで、再び厳しい外出制限が始まり、前夜の街は多くの人たちでにぎわった。

 

街の人は、「最後の飲み会よ」、「外出制限は必要」、「ポジティブな面を見るべきよ」などと話した。

今回の外出制限では、スーパーや薬局など生活必需品を扱う店以外の小売店や飲食店の営業は禁止されるが、学校は閉鎖されない。

 

現時点では12月2日までとされているが、状況次第では延長もあり得るという。【11月5日 FNNプライムオンライン】

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“外出規制の本来の目的や趣旨が、全く理解されていないのが分かるだろう。”【前出「選択」】

市民社会の「幼児化」を示しているとも。

 

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かくして第一波でも顕著だった「東アジアと西欧の差」は、第二波では一段と拡大した。

 

欧州では、「西欧民主主義の弱さが露呈した」(英フィナンシャル・タイムズ紙)といった論調も出始めた。ところが、単純に制度や感染対策を比較するだけだと、「もっと強権で臨め」という議論に陥ってしまう。

 

在東京のドイツ人記者は、「アジアは中国のような独裁政治で乗り切っているのだろう、という程度にしか理解されていない。当局の規制だけなら、EUのどの国よりも緩い日本が、なぜ死者数が少ないのか(十月下旬約一千七百人)、国民の公衆衛生意識まで踏み込んで考えるべきなのに」と言う。【前出「選択」】

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もっとも、日本のような「同調圧力」の強い社会がいいのか、どうか・・・については、またいろいろ意見もあるとは思いますけどね。

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