孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国社会  日本とそんなに大きな差異はないのかも・・・と思える記事

2020-11-09 23:23:13 | 中国

(中国は、共働きの家庭が日本よりはるかに多い国です。上海の専業主婦の割合はわずか5.7%。東京の10分の1にも足りません。【ベネッセ教育情報サイト】)

 

【中国「専業主婦」をめぐる議論】

中国に関するトンデモ記事は連日多々ありますが、それらは中国社会の一端を示しているものの、その多くは中国社会にあっても「とんでもないこと」と理解されているからこそニュースになっているという点にも留意する必要があるでしょう。

 

「トンデモ記事」をもって、「中国というのは・・・」と中国社会全体を論じることには注意が必要です。

 

一方で、中国も日本も似たようなことを考えたり、議論になったりしているということで、そんなに大きな差異もないのかも・・・と思わせるような記事も。

 

その類の、最近の記事をいくつか。

 

中国では、日本以上に「共働き」が普通のこととなっており、日本の「専業主婦」に関する中国人の関心を示す記事はよくみかけますが、下記は、中国における「専業主婦」に関する議論。

 

(なお、冒頭グラフは上海に関するもので、下記記事の貧困地域とはまた異なる状況にもあると思われます。)

 

****「専業主婦にならないで」 校長発言に中国で賛否大論争****

「生徒たちが専業主婦になるのは反対です」――。中国雲南省にある女子高の校長の発言を巡り、中国のSNS上で大論争が起きている。

 

「専業主婦への偏見だ」と批判的な意見の一方で、「やむなく専業主婦になる女性が多い中国の現実を指摘している」と校長を支持する声も目立つ。背景には、多様な生き方を模索する中国の女性たちの意識の変化がありそうだ。

 

「私は、貧しさゆえに人生の選択肢が限られている女性の運命を変えたいとの思いで教育に打ち込んできた。生徒には専業主婦にはなってほしくない」

 

10月下旬、雲南省麗江にある高校の張桂梅校長(63)がメディアの取材に語ったこの発言が「専業主婦論争」のきっかけだ。

 

学校は貧困地域にある。満足な教育を受けられず、義務教育を終えると結婚して家庭に入る女性が多い。

長年教師をしてきた張校長は「女性の自立」を掲げて地元政府に教育の重要性を訴え続け、2008年、全国初となる学費無料の公立女子校の設立に尽力。これまでに多くの卒業生を大学に合格させ、中国の教育界では有名な人物だ。

 

張校長の発言はSNSを通じてたちまち大きな話題となった。

当初は「専業主婦も立派な職業だ」「何になるかは生徒の自由だ」と批判の声が多数だったが、徐々に張校長を支持する投稿が増えていった。

 

中国も都市では晩婚化、価値観の多様化進む

張校長は女性の自立した生き方について話しており、単に専業主婦批判しているのではない――。

出産後、仕事をあきらめて家庭に入るのは女性ばかり。張校長の発言は女性へのエールだ――。

いつになったらこの社会は男女平等になるのか――。

 

中国では、男女とも適齢期に結婚すべきだとの考えが根強く、子育ては女性が担うケースが多い。一方で、都市部ではここ数年晩婚化が進み、結婚・出産にとらわれない女性の生き方を支持する動きが広がっている。

 

今年、既婚者や未婚者、シングルマザーら、様々な背景を持つ30歳以上の女性芸能人が自らの経験や人生観を語るテレビ番組「乗風破浪的姐姐」が社会的ブームにもなった。

 

今回の大論争の背景には、女性の生き方をめぐる価値観の多様化があるとの指摘がネット上でも出ている。【11月3日 朝日】

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「専業主婦」、女性の経済的自立、多様な生き方に関する議論は日本でも多々あるところ。

もちろん社会的背景の違いなどの差異はあるでしょうが、基本的なところでは、似たようなことで議論がなされている・・・という感想。

 

【落ち葉を楽しむ社会】

下記は、社会の余裕というか美意識に関する話題。

 

****秋景色を「延長」、落ち葉の清掃を遅らせる****

以前は清潔さを保つため、道に落ち葉があるとすぐに清掃されるのが常識でした。しかし、このような考えは変わってきています。近年は、市民に秋景色をより長く楽しんでもらうと、各地で落ち葉の清掃を遅い時期に行う措置が取られています。

毎年11月中旬から、上海では落ち葉を放置する方法を採用します。これについて市民は、「落ち葉があると良い雰囲気になる。特に冬の上海は寒くて湿気が多いため、落ち葉に飾られた秋景色を鑑賞すると、暖かさを感じられる」と話しました。

東北部に位置する黒竜江省ハルビン市では、現地の園林部門が特色ある公園32カ所を選出し、特定の区域にある落ち葉の清掃実施を11月まで延期しました。

これについて専門家は、「都市管理理念の転換と進歩ではあるが、火災予防の面で注意点が多くある。また、落ち葉が積み重なることで来年の草花の発芽を抑制する可能性もある。各地はそれぞれの地理、気候によって地域、期間を分けて清掃する必要がある」と説明しました。【11月5日 レコードチャイナ】

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中国社会にも落ち葉を楽しむ余裕が生まれているということでしょう。

 

美意識という点では、わび・さびの日本と、派手な色合いを好む中国では差異がありますが、落ち葉の風情をよしとする点では、そう大きな違いもないようです。

 

【日本並みに増えた痴漢】

次は「痴漢」の話。中国では以前は痴漢行為は少なかったようですが、最近は「日本並み」に増えているとか。

 

****痴漢に走る中国の男性は高度経済成長の犠牲者か?****

今から約10年前、中国で上海市地下鉄に痴漢(中国語「地鉄性騒擾」)が出たというニュースが報じられました。当時の中国では痴漢犯罪自体がまだ物珍しかったこともあり、まるで珍獣でも現れたかのように新聞各紙は大々的に報じ、物議を醸しました。

 

当時の筆者の同僚は、この痴漢事件に驚きつつ、「経済が発展するのと同時に、中国の社会も病んできたのかもしれない」という感想を述べていました(その感想に対して、筆者は思わず「それを言い出したら、中国よりずっと痴漢の多い日本社会はどれだけ病んでいるの?」とツッコミを入れてしまいましたが)。

 

それから時を経た現在、中国でも痴漢犯罪は増え続け、もはやありふれた身近な犯罪となりつつあります。その一方、痴漢犯罪に対する法整備の遅れから、処罰は極端に軽いままとなっており、警察や鉄道関係者からは対策に苦慮する声が聞かれます。

 

そこで今回は、ある意味で日本の後を追う形となりつつある中国の痴漢犯罪事情について紹介したいと思います。

 

身近になってきた痴漢犯罪

今年(2020年)8月、北京市地下鉄内で女性に痴漢行為を働いたとして、中国銀行保険監督管理委員会で処長(日本の部長に相当)を務める44歳の男性が逮捕されました。

 

北京市地下鉄では当時、夏場にかけて増え始める痴漢犯罪に対し、特別警戒が実施されている最中でした。捕まった同男性は車両内で周囲をうかがうなど挙動が不審だったことから私服警官に見張られており、痴漢行為を働いた現場でそのまま取り押さえられました。その後、関連規定に従って、同男性には10日間の拘留処分が科されたと報じられています。

 

この痴漢事件は、捕まった人物の社会的地位が高かったこともあり、多くのメディアに取り上げられました。しかし現在は、この事件のように犯人の社会的地位が高いなどのニュース性がなければ、痴漢事件が中国でいちいち報じられることはありません。痴漢はもはや、中国でもすっかり“身近な犯罪”と化してきています。

 

実際に、2017年に中国青年報が行った調査によると、調査対象である中国の女性のうち53.5%が「これまでに痴漢行為を受けたことがある」と回答しています。

 

ちなみに、法律相談支援サービス会社のカケコム(東京都・道玄坂)が今年8月に発表した日本における痴漢犯罪調査結果によると、過去に痴漢行為を受けた日本の女性の割合は64.0%でした。割合ではまだ日本のほうが上回っていますが、中国における被害経験割合も日本の水準に近付いていることがわかります。

 

大きな違いは、被害直後の対応です。日本の調査では「泣き寝入りした」という回答が69.8%を占めるのに対し、中国の調査における同割合はわずか6.0%しかありません。

 

中国の調査では、被害直後の対応が「大声を出した」「証拠を撮影して110番に通報した」「すぐ走って逃げた」などで占められており、中国の女性の方が“戦闘力”が高いことをうかがえる結果となっています。

 

対策を急ぐ各地の地下鉄

このように増え続ける痴漢犯罪に対し、中国の警察や鉄道運営法人も手をこまねいているわけではありません。(中略)

 

世論を受け厳罰化へ

ただ、今なお中国では、痴漢対策の法整備が追い付いていないことが指摘されています。

 

中国では痴漢犯罪に対し、「中華人民共和国治安管理処罰法」のセクハラ(中国語「性騒擾」)関連規定に則り、各自治体が設けた条例を適用して行政処分を科すことが一般的です。ただ同規定では、具体的にどのような行為がセクハラに当たるのかが規定されていません。

 

また、その処分規定も「5日以下の拘留または500元(約7800円)以下の罰金、事案が深刻な場合は5日以上10日以下の拘留に500元以下の罰金を追加してよい」という内容であり、犯罪事案に対し処罰内容が軽すぎるのではないかとの声があがっています(冒頭の痴漢事件例に対する処罰はまさにこの規定通りの処分内容です)。

 

なお日本国内では痴漢犯罪に対し「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」と条例で規定している自治体が多いようです。

 

そうした厳罰化世論を受けてか、中国でも近年、痴漢犯罪に対し厳罰を科す動きが広がってきています。(中略)

 

痴漢の増加理由は意外なところに

上記の厳罰化の動きについて、中国メディアを見る限り、痴漢犯罪の抑止につながると期待する声が多く聞かれます。しかし性犯罪の特殊性、並びに元々処罰が厳しかった日本の現状と比較するにつけ、果たして厳罰化だけで抑止につながるのかは正直疑問です。

 

そもそもなぜ中国で痴漢事件が増えているのでしょうか。

 

この点について中国人の友人に尋ねたところ、「以前と比べて彼女が作りづらくなったからじゃない?」という答えが返ってきました。これには筆者も二重の意味で深くうなずかされました。

 

経済成長の弊害というべきか、中国人女性が交際男性に求める条件、特に収入に関する基準はかつてと比べてきわめて高くなっています。その結果、日本同様に中国でも彼女のいない成人男性が増えているのです。この傾向は、痴漢の増加とけっして無縁ではないでしょう。

 

となると逆説的に言えば、男女交際のマッチング推進こそが痴漢犯罪の最大の対策となるかもしれません(ほぼ実行不可能という気はしますが・・・)。

 

今や痴漢犯罪への対策は、日中で共通する課題となりつつあります。痴漢という卑劣な犯罪を撲滅するためにも、日中で共に知恵を絞り合わなければならない時代が訪れつつあるようです。【11月9日 花園 祐氏 JBpress】

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「中国の女性の方が“戦闘力”が高い」というのは、面白い結果ですし、多分そうだろうな・・・と納得するところでもあります。

 

 

コメント
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