家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

ボウフラ様

2006-09-14 09:08:07 | Weblog
水瓶の中を覗くと小さな物体が蠢いていた。
親指と人差し指で丸を作り指の接点を開いたり閉じたりすると、ちょうどその物体の動きのようになる。
けっこう大きさに差がある。小さいものは色も形もうまく分からない。切れた糸のようだ。大きいものは赤茶色で毛が生えていることまで確認できる。
ボウフラだ。
鉢に杓を入れて水と共にボウフラを掬いだした。それをメダカの居る鉢に移し入れた。
メダカは杓が水面に近づいた段階で素早くどこかに避難してしまった。
杓から水がドボドボと落ちると一旦は全て沈んでいく。しかし水の動きが落ち着くと、ボウフラは浮き上がり鉢の縁に寄り動きを止める。
その頃になるとメダカが大勢寄って来る。
我が家のメダカに普段は「メダカのえさ」を与えている。餌は茶色の粉で撒くと水面に広がる。餌を撒くときには姿を消していたメダカたちだが目視したのか匂いを感じたのか、すぐに浮き上がってきてエサをつつき始める。
しかし今は何も水面に漂う物はない。
ボウフラもじっとしている。
そのうちにメダカは水面近くのものをつついてみる。
するとつつかれたボウフラは逃げ始める。
一旦逃げる行動を見つけるとメダカは複数で一気に喰いに出る。

このとき驚いたのはボウフラが目にも止まらないほどのスピードで逃げたことだ。

いつもはポワンポワンと一定の泳ぎしかしていないから所謂立ち泳ぎ程度にしか泳げないだろうと高を括っていた。しかし実際に目にしたのは、とんでもない能力だった。

人間の目には追いつけないほどの速度で真下やら真横やら自在に泳げるのだ。
あの俊敏なメダカですら追いつくのに時間がかかるのだ。
最終的にはメダカが飲み込んでしまった。しかしメダカと体の大きさを比較したら、ボウフラはとても小さいし、体の形状からいっても泳ぎに関してボウフラの方は不利だ。なのにメダカとほぼ互角に泳ぐことができた。

ボウフラの隠された能力に驚いた。