ジャズピアニスト山下洋輔と舞踊家田中泯の共演を観に行った。
このすごい組み合わせを楽土舎で行うというのだから見逃せない。
おりしも台風15号が接近しているのにピアノは、かろうじて屋根の下に舞踊は勿論空の下で行うのだ。
夕暮れから夜になるとき演奏は始まった。
まずは山下洋輔の独奏だ。
こんなに美しく繊細なピアノの音色。
こんなに激しく、そして肘で打つ濁って、豊かな爆音。
演奏後にこやかに「みなさんお待ちかねの田中泯です」と紹介する。
3曲目に田中泯が急ごしらえの舞台に登場した。
深々と山下洋輔にお辞儀をしてから踊り始めた。
私は初めから共演というよりも対決として観ていた。
「どちらかが、どちらかを喰うのだろう。喰い合って楽しませるのであろう」と考えていた。
田中泯の踊りは山下洋輔のピアノに合わせるでもなく、また合わせないでもない。
音からエネルギーを受けて動く軟体動物と見えた。
だが音が止んでも軟体動物は、しなやかに動き続ける。
これは音が原動力じゃないぞ、と感じた。
「じゃぁ空に何度も手を振り上げるから天から力を落としてもらっているのか?」
山下洋輔の演奏も田中泯に合わせるでもなく合わせないでもない。
時々田中泯を見てはいた。
面白かったのは田中泯が自分の舞台を離れ山下洋輔の居る舞台に移ったときのことだ。
田中泯はピアノの周りを踊り続ける。
すると山下洋輔は「近づくなー」という感じでピアノを凄まじい勢いで叩いた。
この場は山下洋輔が攻め込まれた感じがした。
だが延々と続くピアノの音に少し疲れを感じた田中泯がタオルで汗を拭き静かになろうとしていたとき今度は山下洋輔のピアノの音が田中泯を黙らせてはいなかった。
タオルで顔や身体を拭きながらも踊りの世界に再び引き込まれてしまった。
音の誘惑に勝てずに舞い始めることを知っている山下洋輔の誘い勝ち。
やはりこの勝負、共演として観たほうが妥当だなと気付いた。
会場の虫の音が一層大きく聞こえたし遠くには犬の吠える声もする。
舞台の上で蚊取り線香の煙を掻き混ぜた時1本のクモの糸が田中泯に繋がって光るのを見た。
彼らを邪魔するものは、この世にないと確信した。
自然の全てのものが彼らを祝福しているのだろう。
共演の終わりを待っていたかのようにドシャ降りの雨が盛大な拍手を送った。
このすごい組み合わせを楽土舎で行うというのだから見逃せない。
おりしも台風15号が接近しているのにピアノは、かろうじて屋根の下に舞踊は勿論空の下で行うのだ。
夕暮れから夜になるとき演奏は始まった。
まずは山下洋輔の独奏だ。
こんなに美しく繊細なピアノの音色。
こんなに激しく、そして肘で打つ濁って、豊かな爆音。
演奏後にこやかに「みなさんお待ちかねの田中泯です」と紹介する。
3曲目に田中泯が急ごしらえの舞台に登場した。
深々と山下洋輔にお辞儀をしてから踊り始めた。
私は初めから共演というよりも対決として観ていた。
「どちらかが、どちらかを喰うのだろう。喰い合って楽しませるのであろう」と考えていた。
田中泯の踊りは山下洋輔のピアノに合わせるでもなく、また合わせないでもない。
音からエネルギーを受けて動く軟体動物と見えた。
だが音が止んでも軟体動物は、しなやかに動き続ける。
これは音が原動力じゃないぞ、と感じた。
「じゃぁ空に何度も手を振り上げるから天から力を落としてもらっているのか?」
山下洋輔の演奏も田中泯に合わせるでもなく合わせないでもない。
時々田中泯を見てはいた。
面白かったのは田中泯が自分の舞台を離れ山下洋輔の居る舞台に移ったときのことだ。
田中泯はピアノの周りを踊り続ける。
すると山下洋輔は「近づくなー」という感じでピアノを凄まじい勢いで叩いた。
この場は山下洋輔が攻め込まれた感じがした。
だが延々と続くピアノの音に少し疲れを感じた田中泯がタオルで汗を拭き静かになろうとしていたとき今度は山下洋輔のピアノの音が田中泯を黙らせてはいなかった。
タオルで顔や身体を拭きながらも踊りの世界に再び引き込まれてしまった。
音の誘惑に勝てずに舞い始めることを知っている山下洋輔の誘い勝ち。
やはりこの勝負、共演として観たほうが妥当だなと気付いた。
会場の虫の音が一層大きく聞こえたし遠くには犬の吠える声もする。
舞台の上で蚊取り線香の煙を掻き混ぜた時1本のクモの糸が田中泯に繋がって光るのを見た。
彼らを邪魔するものは、この世にないと確信した。
自然の全てのものが彼らを祝福しているのだろう。
共演の終わりを待っていたかのようにドシャ降りの雨が盛大な拍手を送った。