家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

時間長者

2013-11-15 09:18:54 | Weblog
遠州鉄道西鹿島駅前にある福来軒まで餃子を食べに行ってきた。

というと別に取り立ててどうということのない話だ。

しかしそこまで「歩いて行った」というと地元民は驚く。

約17Kmの距離で遠州鉄道の駅にして18駅あるのだ。

電車の線路に沿って歩けば疲れたらいつでも乗って帰ることができる。

しかしそうではなく地図で見て目的地に最短で行けて電車の駅にもたどり着けるし最悪の場合バス路線を利用して帰宅できるというルートにした。

朝9時20分に家を出る。

国一を東名高速道路浜松インター方面に向けて歩く。

陸橋は歩いて通れないので橋の下を抜けJR東海道線を渡り再び国一に出る。

いつも車で通り過ぎるところを歩くと細かな驚きが連続してやってくる。

「へえー」とか「なるほど」とか。

時刻と景色の記録に時々写真を撮った。

交差点とか踏切りとか店とか目印になるもの。

しかし撮りたくなるのは魚とか猫とか。

最初の休憩地点にしたのは流通元町図書館だ。

トイレを借りたあと飲食コーナーに座って持参したコーヒーを飲む。

自宅を出て1時間半も経っているのに、まだインターまで到達していない。

車でなら15分で高速に乗っているのだから歩きの遅さを体で感じとる。

しかし確実に歩きの実感をさせたのは空腹感だ。

11時を超えたら急に押し寄せてきた。

寄ろうと考えていた店は、まだまだ先で到底行けない。

笠井街道に出て歩道がなくなり車と自分の間隔に気を配りながら歩く。

以前入ったことのあるラーメン屋が更地になっていた。

がっくりきて隣のコンビニで昼食を買うことになるのかと思ったら、その後ろに中華料理屋の看板が見えた。

迷わず今日のランチ場所を決定した。

ホイコーロー定食を食べ終わっても何か物足りなさを感じた。

笠井は古くからの町で今でも使われる古い建物や新築された真新しい建物が混在する。

見慣れた看板が目に入った。

モンターニュというケーキ屋さんだ。

私の自宅から10分のところに本店がある。

そこには1ヶ月に一度は通っている。

アップルパイを食べたくて入ったが、りんごタルトも食べた。

レジで「オタクの本店の近くから歩いてきました」というと、お姉さんは驚いて従業員にそれを大声で伝えた。

「何時間かかるのですか?」とか「また歩いて帰るのですか?」など質問が噴出した。

新東名が開通してから笠井街道は寸断されツナガリがわかりにくくなった。

ナヴィを使って最適の道を選び進んだ。

目的地の西鹿島駅に到着し駅前にある餃子専門店である福来軒に入った。

ホイコーロー定食が11:38ケーキ2個が13:08と立て続けに食してきて今は14:25。

食欲は全く湧いていなかったが以前から入ってみたかったし駐車場が少ないため入れる機会が少ない。

入ってみると中は撮影禁止だった。

大きめの餃子が10個で600円だ。

少し甘さを感じるしモチモチ感がある。

難なく食べ終わり電車に乗った。

切符を買ってみると460円だった。

この5時間の歩きの価格が、この値段かと思うと複雑な思いがした。

安価で嬉しいのか私の疲れの価格が、こんなに安いものかと。

電車の先頭車両に乗って運転手気分で線路を眺める。

「こんなに真っ直ぐで周りが止まって待っていてくれるのだから早いよなあ」

横揺れもなく一旦走ったら次に止まるのは次の駅だから効率が良い。

この電車は私の5時間を30分あまりで走破してしまう。

車だと、もう少し時間が掛かるが17Kmの距離だとするとヴィッツなら1リッターで到達する。

だから今のガソリンのレートなら153円で来られる。

私はというと昼食が600円でケーキとコーヒーが1070円餃子が600円と2270円もかけた。

遅くてお金がかかり疲れてしまうこの歩きは最も贅沢な遊びでもある。

時間長者というハンドルネームを使う私にはぴったりだと思う。