家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

10年越しの開花

2018-06-10 10:13:24 | Weblog
今年の2月中旬に草刈を始めた。

我が家の山が棚田につながる場所に山から染み出た水を流す水路がある。

水路といっても堤もなく、ただ水で掘れた地面に水が長年流れてできた水の道だ。

そこに名前を知らないススキに似た植物が繁茂する。

水路の周りはもちろん水路の中にも生える。

この植物が繁茂すると、そこに水路があることすら気づくことはない。

一年中枯れることなく常に力強く生え続けている。

だから2月まだ寒いくらいの季節にも草刈が必要となる。

前回と同じく妻と作業を進めた。

私が刈り払い機で刈った後を妻がレーキと呼ばれる西洋熊手で刈った草をどける。

少し距離を置いて付いてくる妻の仕事のおかげで刈り残しが激減した。

私が刈込みに集中していると妻が声をかけてきた。

「あれ。ハナショウブじゃない」

見ると確かにハナショウブの花が咲いている。

ここは元田んぼだった。

そこを我が家の元のオーナーが買い取り、そこにハナショウブを植えたと聞いている。

だが100株のハナショウブは一夜にしてイノシシに食われてしまったとも聞いている。

私が、この土地のオーナーになって10年を越した。

毎年ここの草刈をしてきたが初めて見るハナショウブの花だ。

10年以上眠り続けた後の開花だ。

10株ほど咲いている。

周りの草を刈り取ろうとして刈り進んでいったがハナショウブの葉を見つけた。

「あぶない、あぶない」

葉を切ってしまわないように刈るのはやめた。

この元田んぼがハナショウブで埋め尽くされたらいいなと思う。

現実的には、そんなに甘くないと考えている。

前オーナーが経験したように私も失望することになろう。